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Googleのミッションは時代遅れになったのか?

 米国大手IT企業・プラットフォーマーを数社にわたり経験してきた著者によるコラム。生成AIをはじめ、テクノロジーの急激な進化に伴い、Googleのミッションを再読する。

Googleのミッションは時代遅れになったのか?

 あなたは神に選ばれた。死の自由を剥奪する代わりに、永遠の生命に引き替える。判断はあなた次第だ。神はあなたに語りかける。

 「お前は世界に必要不可欠だ。死ぬことは許さない。だから、永遠の命を授けたい。お前のDNAデータをすべて引き渡すのだ。精神と肉体のすべてを再生するために必要なのだ。」

 神は、あなたの許諾を取る。なぜなら、GDPRや個人情報保護法があるからだ。神といえども、人間界の法は厳守する。人間界自体、神の創造物だからだ。さて、あなたは、あなたのすべてのデータ、DNAの全情報を、神に譲り渡すだろうか? 永遠の生命を手に入れたいか? あなたなら、どうするのか?

 「Googleの使命は、世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスできて使えるようにすることです」という有名なGoogleのミッションがある。素晴らしいミッションだと思う。 だが、しかし、あなたは、Googleに対して、あなたのすべての情報を差し出すだろうか? 「世界中の情報」とは、ネット上の情報以外も対象にしている。たとえば、全人類のDNA情報を分析することで、医療にも大いに役立つはずだ。

 日経の記事「Google、AIでDNA構造を予測 がん治療など創薬に革新」によれば、「グーグル親会社のアルファベットは2021年に創薬スタートアップを設立済みだ。2024年1月には米イーライ・リリーやスイスのノバルティスとの提携を発表した」とのこと。「生命活動の根幹を担う分子の立体構造などを予測する人工知能(AI)を開発」し、病気の解明や創薬を加速させていく。

 MIT Technology Reviewに先日、「「脳の交換」で死を克服、米政府機関が1億ドルの狂気的アイデアを採用」という記事が掲載された。少し引用しよう。

「こうした驚くべき技巧には、移植した頭を脊髄に接続する方法をはじめ、現時点では存在しない複数のテクノロジーが必要とされる。それでも、<中略>死の克服に関して最も可能性の高い手段であると評価しており、実証はわずか10年間、36億ドルの予算で実現するはずだと主張している」

出典:MIT Technology Review「「脳の交換」で死を克服、米政府機関が1億ドルの狂気的アイデアを採用」

 このようなテクノロジーの急激な進化の中で、Googleのミッションを再読する。そのとき、このミッションは時代遅れであり、かつ、非現実的だ、とわかる。わたしは、はじめて、Googleのミッションに触れたとき、とても素晴らしいと思った。ここに未来があると思った。だが、新聞社などからの著作権侵害訴訟、情報やデータ権侵害、プライバシー権侵害などの話が多くなるにつれて「このミッションは時代遅れだし、いずれ行き詰まることになる」と感じ始めていた。

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この記事の著者

ヴァイオレット・エヴァーインディゴ(ヴァイオレット・エヴァーインディゴ)

1990年代に米国西海岸に留学し、シリコンバレーで就職。1998年のGoogle誕生に衝撃を受け、ネット広告・デジタルマーケティング領域に職域を転換。2000年代初めに帰国。米国大手IT企業・プラットフォーマーを6社経験。デジタルマーケティングのコンサルティングを生業とする。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/09/03 08:00 https://markezine.jp/article/detail/46707

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