SKUレベルのインサイトまでわかるRevuze
──2011年にイスラエルで創業、2013年に設立されたRevuzeが日本に本格進出するそうですが、どのようなサービスを提供しているのでしょうか。
Revuzeは生成AIを搭載したVoC分析ソリューションのプロバイダーです。生成AIを活用し、ECサイトで商品を購入・使用した消費者による口コミなどのオンラインレビューデータを収集・整理し、分析したレポートを提供します。VoC収集・分析における工数削減や、顧客満足度向上、売上の向上などを目的に、多くのお客様から広くご活用いただいています。
Revuzeの特徴は、顧客の声を基に商品のカテゴリーレベルから、商品1つひとつの単品(SKU)レベルのインサイトまで、提供することです。たとえば「Tシャツ」と一口に言っても、型番、サイズ、色など、商品展開によって様々なレビューが集まります。同じ型番の商品でも、「MとLで差がなく、Lが小さく感じる」「青は色落ちが激しい」といった異なる評価をされることは珍しくありません。
SKUレベルで詳細なインサイトを得られるからこそ、コーポレート・アイデンティティのリサーチやブランディングだけではなく、マーケティング戦略の立案や商品開発の改善、営業活動の効率化にまでご活用いただけるのです。
──ECサイトからレビューデータを収集するとのことですが、どのようなECサイトに対応しているのでしょうか。
主要ECサイトのほか、ブランドやメーカーが独自で運用している直販サイトも含めて現在450のデータソースを保有しています。ご利用時にどの商品カテゴリーや商品群のデータを参照するか設定する必要がありますが、日本国内ではAmazonやヨドバシカメラ、楽天などのECサイト、価格.comのような口コミサイトに対応しています。
──現在、どの地域でどういった企業が利用しているのでしょうか?
北米・南米をはじめ、EMEA(ヨーロッパ・中東・アフリカ)諸国、APACの数十ヵ国に展開しています。業種で言うと、消費財や家電製品、食品・飲料、エレクトロニクス、アパレル、化粧品など100以上の大手ブランド企業に導入いただいています。いくつか社名を挙げると、ロレアルやP&G、Pilot Corporation of America(パイロットコーポレーションの米国事業所)、アンダーアーマー、ヘンケル、ジョンソン・エンド・ジョンソンなどがあります。
企業のVoC分析がうまくいかない理由とは
──サービスについて詳しく伺う前に、なぜ今VoCなのかについてもお聞きしたいと思います。VoCの収集・分析は企業にどのような効果をもたらすのでしょうか。
VoCとは文字通り「お客様の声」です。その声とは、商品やサービスに対するレビュー(口コミ)や感想、またはクレームのことです。VoCには、消費者が実際に良いと思ったこと、改善してほしいことなどの情報が詰まっているので、その声を分析してマーケティングや商品開発にフィードバックすることで、消費者のニーズや価値観に沿った商品・サービスが提供できるようになります。
VoC分析はリアルな“声”から消費者のインサイトを発見できるため、近年特に注目度が高まっているマーケティングアプローチの1つと捉えています。
──重要性を認識していても、実際には活用できていない企業も多いと思います。何が原因なのでしょうか。
一言で言えば、VoCの収集・分析には様々な領域やアプローチ法があるため、工数がかかったり、分析データが属人的になったり、SKUレベルでの分析が困難だったりというハードルがあるからでしょう。詳しく説明すると、VoC分析は3つの手法に分類できます。
1つ目の手法が、SNSやブログなどのテキストデータから有益な情報を抽出する「テキストマイニング」です。2つ目の「コールセンター分析」は、コールセンターに寄せられた顧客の声を分析する手法です。そして3つ目が、ECサイトなどに消費者が投稿した口コミや星、感想などのデータを収集分析する「レビュー分析」です。
このようにVoCと言っても、そのデータソースやアプローチは多岐にわたるため、まず収集作業だけで膨大な工数がかかりますし、分析も属人的になりがちです。また、SNSでのソーシャルリスニングの経験がある方は実感しているかもしれませんが、インフルエンサーの影響でデータにバイアスがかかることも珍しくありません。加えて、地域差や言語の問題で全消費者の声を分析できないという課題もあります。
またテキストマイニングも、結局は「自分たちが抽出したいと思っているキーワード」の影響を受けて恣意的な分析になりやすいというリスクがあります。リアルな消費者の声を正確に分析するのは難しく、また作業にかかる工数やコストが主なネックになっている点は間違いありません。