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MarkeZine Day 2026 Autumn

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「目立つ」から「最適化」へ。ダークモード広告の登場から読み解く広告クリエイティブの未来

 広告は、明るいほど良い。長らく広告業界では、それが疑いようのない前提だった。特にOOH(Out of Home)やデジタルサイネージの世界では、「いかに目立つか」が価値そのものだった。巨大なLEDビジョン、強い発光、高彩度な色彩。都市空間における広告は、視線を奪うために進化してきた。しかし今、その常識に対して静かな問い直しが始まっている。

見過ごされてきた「広告活動によるエネルギー消費」

 デジタルサイネージ市場は世界的に拡大を続けている。駅、商業施設、空港、タクシー、ビル壁面。都市空間には無数のディスプレイが設置され、24時間に近い形で稼働している。

 特にLEDビジョンは、高い輝度によって昼夜を問わず視認性を確保している。しかし当然ながら、その“明るさ”は大量の電力消費と引き換えだ。

 ところが、このエネルギーコストはこれまでほとんど議論されてこなかった。企業は製造工程のCO2排出量には敏感になっている。サプライチェーンの可視化も進んでいる。一方で、「広告活動そのものがどれだけエネルギーを消費しているか」は、まだ十分に認識されていない。

 広告は企業活動の“外側”にあるものとして扱われやすい。しかし実際には、巨大なLEDディスプレイを都市中で常時点灯させる行為は、決して小さくないエネルギー消費をともなう。しかも、デジタル広告は今後さらに増える。DOOH(Digital Out of Home)はプログラマティック化が進み、都市空間のあらゆる場所がメディア化されていく。つまり、広告が消費するエネルギー量も今後加速度的に増大していく可能性がある。

 これまで私たちは、「広告は何を伝えるか」を議論してきた。しかしこれからは、「広告は何を消費するか」も同時に問われる時代に入る。

 イタリアのエネルギー企業Plenitudeは、デジタル広告に“ダークモード”を導入する実証実験を開始した。LEDスクリーン上の広告を暗い配色へ切り替えることで、最大74%の電力消費削減を目指す取り組みだという。これは単なるデザイン変更ではない。広告のあり方そのものを問い直す試みである。

画像出典:Plenitude プレスリリース

 私たちはこれまで、「広告とは視認性を最大化するもの」と考えてきた。しかし、その視認性の裏側には膨大なエネルギー消費が存在している。Plenitudeの事例が示しているのは、広告もまた環境負荷を伴うインフラであるという事実だ。

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視線を奪い合う時代から「最適化」を競う時代へ

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この記事の著者

中井千尋(Livit)(ナカイ チヒロ)

大学卒業後、金融機関勤務を経て、イギリスへ留学。そこで培った語学力を活かし、帰国後は企業の語学研修コンサルティングに携わる。シンガポールに渡り、大手日系商社に転職。シンガポール人、インド人、オーストラリア人、モンゴル人、中国人など多国籍社員が集う場でのビジネスを経験。その後、オランダに渡り、ライターとして独立。分野...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2026/06/10 07:00 https://markezine.jp/article/detail/50783

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