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注目マーケティングトピックス2026

カルビー「白黒化」から考える循環型へのシフトと次世代パッケージ戦略【江端氏解説・後編】

 カルビーのパッケージ白黒化が浮き彫りにした「ブランド体験の維持」と「環境負荷の低減」という難題。今、多くの企業がこのトレードオフの解消に直面しています。本寄稿記事では、マーケティングやDXに精通する江端浩人氏がこの課題に対するこれからの戦略を解説します。こちらの後編では、QRコードを活用した「情報提供のDX」や水平リサイクル容器などの具体策について提示しながら、サステナビリティを“攻め”のブランド価値へ昇華させ、消費者との新たな関係を築く次世代のアクションに迫ります。

★前編はこちら

QRコードとDXが、“情報と資源”の両立を可能にする

 前編で述べた「消費者保護」と「資源削減」をどう両立させるのか。重要になるのが、QRコードを含むデジタル技術、つまりDXである。ただしここでいうDXは、「パッケージにQRコードを一つ貼る」という話ではない。商品情報、流通情報、リサイクル情報、消費者接点を、デジタルで再設計するという意味でのDXである。

 たとえばGS1 Digital Linkは、JANコードなどの商品識別コード(GTIN)を起点に、商品情報ページ、マニュアル、キャンペーン、サステナビリティ情報など、関連するWeb上の情報やサービスへ誘導するための標準仕様である。これまでパッケージに静的に印刷されていた情報の一部を、動的な情報接点へ移していく可能性を持つ。

 さらにGS1は小売における二次元シンボル活用も進めており、2027年末までに小売業のPOSスキャナが従来のEAN/UPCシンボルとGS1二次元シンボルの両方を読み取り、処理できるようにすることを目標としている。これは商品情報と流通情報のインフラが大きく変わる兆しである。

GS1 Japan「GS1 Digital Link」
出典:GS1 Japan『GS1 Digital Link』

 この仕組みが進めば、パッケージはすべての情報を抱え込む必要がなくなる。パッケージ上には最低限の入口を残し、詳細な原材料情報、栄養成分、アレルゲン補足、産地、製造ロット、リサイクル方法、環境負荷情報などはQRコードを通じて提供する。印刷量を減らしながら、むしろ消費者に提供できる情報量は増やせる可能性がある

 ただしQRコード化には注意点もある。「詳しくはQRコードで」と表示するだけでは、スマートフォンを持たない人、デジタル機器に不慣れな人、視覚障害を持つ人、通信環境が不安定な場所にいる人を取り残しかねない。DXは情報を減らすためだけでなく、情報へのアクセスを広げるためにも使われなければならない。読み上げ対応、大きな文字での表示、多言語表示、やさしい日本語、店頭端末、レジ画面での確認、必要に応じた印刷、コンビニプリントとの連携などが考えられる。デジタル化でパッケージを軽くするなら、その分、社会全体で情報アクセスの手段を厚くする必要がある(ウェブアクセシビリティ基盤委員会「JIS X 8341-3」関連資料)。

 デジタル表示は企業側の情報管理体制も問う。リンク切れ、誤表示、古い情報の残存、ロット違いによる表示差、広告情報と義務表示情報の混在などが起きれば、消費者の信頼を損なう。QRコードを導入するなら、情報の正確性、更新履歴、管理責任、監査可能性まで含めたデータガバナンスが必要になる。

 カルビーの白黒化が「色を減らす」という引き算の発想だとすれば、QRコードとDXは「情報の持ち方を変える」という再設計の発想である。資源を減らしながら消費者保護を維持し、さらにブランド体験を豊かにできるのか。そこに、これからのエコパッケージとマーケティングDXの大きな可能性がある。

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循環型パッケージはここにも。「い・ろ・は・す」「ペリペリ君」

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この記事の著者

江端 浩人(エバタ ヒロト)

iU大学教授、江端浩人事務所 代表、MAIDX LLC代表、AlMONDO事業顧問

米ニューヨーク・マンハッタン生まれ。米スタンフォード大学経営大学院修了、経営学修士(MBA)取得。伊藤忠商事の宇宙・情報部門、ITベンチャーの創業を経て、日本コカ・コーラでマーケティングバイスプレジデント、日本マイクロソフト業務...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2026/06/03 09:00 https://markezine.jp/article/detail/50810

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