購入の「前」と「検討中」で圧倒的なリアル店舗情報
博報堂研究開発局と博報堂DYメディアパートナーズi-メディアビジネス局は、2008年11月から12月にかけて、首都圏・阪神圏の男女20~69歳を対象に調査を行い、25カテゴリーの商品の購入者、のべ4795サンプルのデータをまとめた。今回の調査では、買物時点にポイントを絞り、「購入を思い立つ前」、「購入検討中」、「購入後」のメディア活用状況を分析している。
25カテゴリーを平均すると、「購入を思い立つ前」と「購入検討中」の情報受信行動は、1位「店」、2位「マス」を通じた情報で、「購入後」は情報量は減るものの、1位「マス」、2位「店頭」を通じた情報で確認・納得している。情報のデジタル化が進む現在でも、買物時においては「店」の存在感が大きくいことが明らかになった。
いずれのフェーズにおいても3位に甘んじているウェブだが、購入検討中のフェーズにおいて商品カテゴリー別に見ると、「不動産」「パソコン」「自動車(ミニバ ン)」「デジカメ」という耐久財については5割を超える数値になっている。
また、どのようなメディアで情報発信するかについては、「友人・家族との会話」が3つのフェーズを通じて中心となっており、ブログやコミュニティーサイトなどのソーシャルメ ディアは購入後に増加する傾向にある。ソーシャルメディアでの発信比率はカテゴリー間での差が激しく、「自動車(コンパクト)」「家庭用ゲーム機」 「自動車(ミニバン)」「デジタルカメラ」「携帯用ゲーム機」など趣味性・嗜好性が強いものが高い傾向にある。
8つの情報ルートパターン
買物行動時の情報の受発信行動ルートは、クラスター分析すると8パターンあることがわかった。その中で、店員や店頭などの情報だけで購入する「店だけ」型が23.1%で最も多く、店とあわせてネットでも情報収集を行う「ウェブ・店」型が19.7%で続いている。「店だけ」型は、店員や店頭など、店周りの情報のみで購入するタイプで、購入した商品カテゴリーへの関心やこだわりは少なく、風邪薬、冷蔵庫カテゴリーで比率が高くなっている。また、「ウェブ・店」型は、店頭情報を参考にしながらも、ウェブ情報も検索するタイプで、購入した商品カテゴリーへの関心やこだわりを持っており、自動車、デジタルカメラカテゴリーで比率が高くなっている。
「店だけ」型と「ウェブ・店」型のパターンを比較すると、「店だけ」型は、購入の前と検討中でほとんどウェブを活用していないことがわかる。一方、「ウェブ・店」型は、購入の前と検討中ではクチコミ以外をまんべんなく利用している様子がうかがえ、タイプごとに利用する情報チャンネルの違いが浮き彫りになった。
8パターンの中には購入後の受信行動が購入前を上回るケースや、同じ家電であっても生活家電と情報家電では、受発信のルートが異なることが明らかになった。クロスメディアに注目が集まる現在、情報の受発信パターンをカテゴリーごとに把握することも、これからのプランニングには重要になりそうだ。
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