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日本郵便「デジタル×アナログ」実証実験プロジェクト(AD)

今こそマーケティングに“温かさ”を 会えない時代に心を打つ、紙媒体の特性を活かしたDMのシナリオ設計

「パーソナライズ」と「エモーショナル」がトレンド要素に

――毎年開催されている「全日本DM大賞」も今年で35回目を迎えました。近年の応募作品から見えるデジタル×アナログの発展と、クリエイティブやメッセージの傾向について教えてください。

堀口:まず、AIを活用したもの、Web閲覧データや行動データと連動したものなど、デジタルと連携したDMが一定の広がりを見せています。DMの世界でもデータ活用が可能になったことで、最適なターゲット・内容・タイミングで届ける、いわゆるパーソナライズDMが実現できるようになっているのです。

 従来のDMというと、大勢の人たちに一斉に同じ内容を送る“ばら撒き型”が大半を占めていました。いまは、技術の進歩とともに、個々の受け取り手ごとに刺さるやり方でDMを送る企業が増えていて、それによって無駄なコストをかけずに効果を出せる形に変わっています。それにはデジタル施策と同様に、受け取り手の視点に立ち、どのような体験をもたらすことができるのかを考える観点が大事です。

 もうひとつのトレンドとしては、受け取り手に寄り添うエモーショナルなDMが増えていると感じます。受賞作品を例に挙げますと、昨年グランプリを受賞した東京個別指導学院さんは、通塾している受験生の保護者を対象に「母子手帳」を模した冊子型のDMを送り、親子間のコミュニケーションに悩んでいる保護者の感情に寄り添いながら、エンゲージメントを深めています。

2020年にグランプリを受賞した「親子の会話で絆を深める『受験生の母子手帳DM』」(広告主:東京個別指導学院、制作者:フュージョン)(タップで拡大)
2020年にグランプリを受賞した「親子の会話で絆を深める『受験生の母子手帳DM』」
(広告主:東京個別指導学院、制作者:フュージョン)(タップで拡大)

 特別賞を受賞された土屋鞄製造所さんは、同社のランドセルを購入した顧客に対して、「小学生の最初の一年、よく頑張りました」のメッセージと紙のメダルを送って、特別感を出しながら、生活者の気持ちやインサイトに届く温かみのあるマーケティングシナリオを設計していました。

2020年に日本郵便特別賞(エンゲージメント部門)を受賞した「小学校の最初の1年、よく頑張りましたDM」(土屋鞄製造所、タップで拡大)
2020年に日本郵便特別賞(エンゲージメント部門)を受賞した
「小学校の最初の1年、よく頑張りましたDM」
(土屋鞄製造所、タップで拡大)

 特に今年はWithコロナの状況から、人と人との関わりが制限されています。そのような中で、手紙が本来持つ温かさをマーケティングコミュニケーションの中でも体感していただきたい。このような想いを込めて、今年のDM大賞のテーマには「マーケティングに温かさを」を掲げています。

シナリオ設計では「現場感覚」を大切に

――興味深い傾向ですね。人々の心に響くエモーショナルなシナリオを設計するにあたって、ポイントはありますか?

堀口:顧客視点を大事にする、そのための方法として「現場感覚」を忘れないことが必要だと思います。特に弊社のような組織が大きい会社ですと、どうしても現場が遠くなりがちですが、社内コミュニケーションを工夫することで現場の温度感やお客さまが求めていることに常に触れ続けることができるのではないかと思っています。

 加えて、マーケターの皆さまも苦心されていることと思いますが、企業側の都合を押し付けるのではなく、あくまでDMの受け取り手にとって良質な体験をお届けするのが理想的ですよね。DMは企業が自分の知らせたいことをプッシュ型で送る性質を持っています。だからこそ、受け取り手がDMを受け取った際の気持ちに思いを馳せた上で、受け取り手に合わせた最適なものを送ることで、DMの良さが最大限に引き出されます。

――2つのポイントに立ち返りながら、シナリオ設計を進めると良さそうですね。

堀口:はい。一方で、顧客起点の設計は簡単ではなく、想像力に頼らざるを得ない部分もあります。だからこそ「デジタル×アナログ振興プロジェクト」などを通じて、産学連携で最適解を探っていきたいと思っています。様々な業種の企業と一緒になって議論することで、多様な視点が得られたり、イノベーションが生まれるはずです。是非多くの企業の皆さまに関心を持っていただき、ご一緒していただきたいです。

 そして最近は、大手企業に限らず、比較的小規模な飲食店や商店などでも、丁寧なシナリオ設計が光るDMでお客さまとコミュニケーションをとられている例が増え始めています。おもしろい仕掛けや個性的なクリエイティブで注目を引き付けるのもひとつの方法ですが、お客さまの気持ちに寄り添い、貢献度の高い情報発信をすることも、リアルのDMがもつ可能性ではないでしょうか

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デジタル×アナログの目指すべき姿とは?

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この記事の著者

畑中 杏樹(ハタナカ アズキ)

フリーランスライター。広告・マーケティング系出版社の雑誌編集を経てフリーランスに。デジタルマーケティング、広告宣伝、SP分野を中心にWebや雑誌で執筆中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2020/12/07 11:00 https://markezine.jp/article/detail/34896

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