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ノバセル田部正樹の事業を成長させる“商売視点でのマーケティング”とは

事業成長に目を向けているか?ノバセル田部正樹のマーケターへの提言

 ノバセルの田部正樹さんとともに、事業成長に“真に”貢献するマーケティングとは何かを探っていく新連載がスタート! 初回となる本記事では、田部さんに単独インタビューを実施。ラクスル株式会社のCMOであり、ノバセル株式会社の代表取締役でもあるという立場から、マーケティングについてどのように考えているかを聞きました。

顧客の解像度を上げることが、マーケターとしての価値になる

MarkeZine編集部(以下、MZ):新連載「ノバセル田部正樹の事業を成長させる“商売視点でのマーケティング”とは」では、田部さんと有識者・CMOの方々との対談を通じて、事業成長に真に貢献するマーケティングとはどのようなものかを探っていきます。

 連載開始にあたって、田部さんがマーケティングについて考えている4つの要素を教えていただきました。今日はこれらについて掘り下げていきたいと思います。

前提:「マーケティング=商売」

(1)顧客にフラットな姿勢で向き合う

(2)企業価値、事業価値>マーケティング

(3)経営者として1円に執着する

(4)見えない未来を信じぬく事業への熱狂

MZ:早速ですが(1)顧客にフラットな姿勢で向き合う、とはどのようなことかお話しいただけますか。

田部:お客さまが本当に求めているものを見抜くことができる、ということです。ラクスルでは、行動指針として掲げる言葉のひとつに「Realityー高解像度」というものがあります。特に、マーケティング領域に関わるメンバーの間では「顧客の解像度」を非常に重要視しています。私が日々伝えているのは、解像度を上げていくと肉眼で見えているものだけでなく、「多くの人には見えていないが、実際にはあるもの」が必ず見えてくるということ。これを見つけられる力がマーケティング能力であり、本質的な力だと思っています。

 その力をもとに、自社の都合を排除して「それってお客さまは求めていないですよね」「お客さまが本当に求めているのはこれじゃないですか」と言える人が真のマーケターだと思っており、自分自身も常にその立場でいるよう心掛けています。

ノバセル株式会社代表取締役社長 兼 ラクスル株式会社取締役CMO 田部 正樹氏1980年生まれ。中央大学卒業後、丸井グループに入社。主に広報・宣伝活動などに従事。2007年テイクアンドギヴ・ニーズ入社。営業企画、事業戦略、マーケティングを担当し、事業戦略室長、マーケティング部長などを歴任。14年8月にラクスルに入社。マーケティング部長を経て、16年10月から現職に就任。18年より、これまでのラクスルの成長を約50億かけてドライブしてきたマーケティングノウハウを詰め込んだ新規事業、運用型テレビCMサービス「ノバセル」を立ち上げる。2022年2月分社化、ノバセル株式会社の代表取締役社長に就任。
ノバセル株式会社代表取締役社長 兼 ラクスル株式会社取締役CMO 田部 正樹氏
1980年生まれ。中央大学卒業後、丸井グループに入社。主に広報・宣伝活動などに従事。2007年テイクアンドギヴ・ニーズ入社。営業企画、事業戦略、マーケティングを担当し、事業戦略室長、マーケティング部長などを歴任。14年8月にラクスルに入社。マーケティング部長を経て、16年10月から現職に就任。18年より、これまでのラクスルの成長を約50億かけてドライブしてきたマーケティングノウハウを詰め込んだ新規事業、運用型テレビCMサービス「ノバセル」を立ち上げる。2022年2月分社化、ノバセル株式会社の代表取締役社長に就任。

 「マーケティング」についての私なりの定義は、顧客のニーズを捉え、それに合わせて戦略を変えていくということ。WHOとWHATと言われる部分ですね。「誰に、何を提供するのか」が見えてはじめて、HOWの話ができるようになる。そのはずが、「マーケティング」という言葉から、手法の話をイメージする人が多いのが現状だと思います。

手法の話が増えていくのはなぜ?

MZ:先日マーケターの採用について「会社の中によく顧客と接している人やインサイトを理解している人、空気を読まずに顧客目線で発言する人がいたら、その人にマーケターになってもらうのが良い」という内容のツイートをされていました。これも、今お話しいただいた問題意識によるものだったのでしょうか。

田部:はい。「マーケターを採用したいので手伝ってほしい。どんな人がいいだろうか」というご相談を度々いただくのですが、WebマーケティングやテレビCM、各種ツールなど、「どんな手法に長けた人がいいか」という話に終始することが多いのです。

MZ:手法ばかりに注目が集まってしまうのは、なぜなのでしょう?

田部:一つ考えられるのは、インターネットビジネスが増えたことで、実際にリアルな形でお客さまと接していないマーケターが非常に多くなっていることだと思います。生身のお客さまのことがよくわからないから、手法の話に偏っていく。個々の手法については詳しくても、「自社のロイヤルなお客さまはどんな人ですか」とか、「自社のサービスを選んでいる人は、どういう人ですか」「どんな理由で、サービス選んでいると思いますか」「そのような人は、世の中にどれぐらい存在しますか」といった質問をすると、答えられなくなってしまうのです。

 インターネットビジネスが定着した後にマーケターになった若い世代は、特にお客さまに接する機会を得ていない人が多いと思います。逆に言えば、意図的にお客さまと接する機会を作って、顧客にフラットに向き合うことができている人は、差別化されていくのではないでしょうか。

MZ:マーケターの一般的なキャリアパスとしては、マーケティングの実行部隊としてHOWの一領域を担当することから始めるケースも多いと思います。そこからどのようにして、WHO/WHATを考える力をつけていくと良いのでしょうか。

田部:どんな領域の担当であっても、WHO/WHATに向き合うことはできます。TikTokの運用でも、Facebook広告の運用でも、何でもいい。私が8年ほど前にラクスルに入社した時、Webマーケティングの領域でどういうことをやっていたかをお話ししたいと思います。

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この記事の著者

蓼沼 阿由子(編集部)(タデヌマ アユコ)

東北大学卒業後、テレビ局の報道部にてニュース番組の取材・制作に従事。その後MarkeZine編集部にてWeb・定期誌の記事制作、イベント・講座の企画等を担当。Voicy「耳から学ぶマーケティング」プロジェクト担当。修士(学術)。東京大学大学院学際情報学府修士課程在学中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/02/01 08:30 https://markezine.jp/article/detail/38164

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