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変革の鍵は「どれだけ顧客を理解しようとするか」HubSpotに聞く、中小企業のデジタル活用のヒント

 MarkeZine編集部刊行『マーケティング最新動向調査 2023』収録のアンケート調査によると、企業の売上規模によってマーケティングのデジタル化における取り組みの優先順位が異なることがわかった。回答者の約半数を占める100億円未満の企業では「ツールへの投資」が最も多い。そこで、今回、同調査でMA導入率が売上「1億円未満規模」で36.8%、「1億円以上10億円未満規模」で24.5%と高いシェアを持つHubSpot社にてマーケティングディレクターを努め、自身もスタートアップでのマーケティングに従事していた経験を持つ伊佐裕也氏に、中小企業のデジタル活用とツール投資における傾向と障壁の突破方法について伺った。

担当領域が多く、忙しい中小企業のマーケター

――今回は中小企業のツール活用をテーマにお話を伺います。まず伊佐さんのご経歴を伺えますか?

伊佐氏:私はHubSpot入社前に、2社のスタートアップ企業を経験してきました。1社目はクラウド会計ソフトのfreee。従業員規模が50~60名の頃から、300~350名規模になるまで在籍していました。2社目はドローンや倉庫ロボットなどの産業用ロボットを主に扱うクラウドロボティクスのRapyuta Roboticsです。少人数の会社では業務が膨大です。どう優先順位を付けて取り組むか、私自身もかなり悩みました。その経験は今、HubSpotでの社外向けのコミュニケーション全般に活きていますね。

HubSpot Japan シニア マーケティング ディレクター 伊佐裕也氏
HubSpot Japan シニア マーケティング ディレクター 伊佐裕也氏:DELL、SONY、Googleなどのグローバル企業でマーケティング業務に従事。GoogleではSMBマーケティングチームを統括し、中小企業向け事業におけるインサイドセールス・マーケティング体制の構築を行う。その後クラウド会計ソフトのfreee、クラウドロボティクスのRapyuta Roboticsにて日本発のBtoBスタートアップ企業でのマーケティングチームを統括。2018年より現職。オックスフォード大学(英)政治経済学部学士号、INSEAD経営大学院MBA取得。

――MarkeZineの調査から、HubSpot社は中小規模から選ばれている傾向が見られました。同規模企業でのデータ活用やMA導入について、相談を受けることも多いかと思います。現在、どのような課題を持っている企業が多いですか?

伊佐氏:ご相談内容は多岐にわたりますが、特に人に関するものが多いですね。お悩みにはいくつかのレイヤーがあります。

 1つ目は、ツールを使用した効率化です。我々の調査によると、中小企業で専任のマーケティング担当者がいる企業は全体の19.2%。中小企業においては、そもそも「マーケティング担当」という役職がないことも多いのです。マーケティングをしつつ営業企画や営業、オペレーションなどもされているのですね。そのような方々が、ツールを導入して効率化し、「より多くの仕事をこなせるようになりたい」と望まれています。

 2つ目は、顧客データの属人化です。営業担当個人が様々なデータを持ち、会社としてはいまだに所在を把握できていない状態です。顧客情報管理に関する我々の調査でも、3割程度の企業で「不明」と回答されています。ツールを導入することでそのようなデータを集約し、組織の資産として活用できるようにしたいというご相談です。

 3つ目は、ノウハウを持つ人材の不足です。たとえばウェビナーやイベント登壇などを実施して見込み客を獲得しても、電話を1回かけて終わってしまう状況などです。データ活用のノウハウがないので、ツールで補いながら解決したいというご要望があります。

「変えないといけない」が何から手を付けていいかわからない

――DXが叫ばれ、ビジネスの変化も起きています。この数年でご相談の内容は変化していますか?

伊佐氏:中小企業の方々は特に今、「何かを変えないと」という熱い思いをお持ちですね。しかし、内容は漠然としており実際の進め方に困っている方が多い印象です。

 というのも、昨今、世の中は大きく変化しており、今までのノウハウや販売法が必ずしも通用するとは限らず、頭打ち感を持つ方々が多いのです。新規顧客開拓の必要性を感じて悩み、そこに何かしらデジタルの力を使わねばと思ってらっしゃいます。

 今後の成長のために新規事業を立ち上げ、拡大を考える方々もいます。しかし、新しい事業=今まで馴染みのない領域への進出なので、新規のお客様へのリーチ方法、関係性の作り方、提案の仕方がわからないという悩みも見られます。

――ある種の危機感はあっても具体策が見つからない。あるいは、戦略はあっても戦術がわからない状況なのですね。実際に、変化できた例はあるのでしょうか?

伊佐氏:NRIセキュア様の場合、元々は対面でセキュリティコンサルティングをされていました。従来の方法では、地方の企業に対してのサービス提供が難しいことが課題で、新規展開を検討されていました。実際に、Web上で質問に答えると自社セキュリティの強度を確認できる完全オンライン版サービス「Secure SketCH(セキュアスケッチ)」も開発が進んでいました。問題は、顧客をどう作っていくかです。マーケティング経験ゼロの、元コンサルタントやセキュリティのプロの方々がアサインされていたのです。そこで、HubSpotでは新規顧客との関係作りを実現するためのツール活用を提案し、現在は広く事業を展開されています。

本調査の全結果とクロス集計の結果に加え、 「マーケティングをめぐる近年の動向の概観」や「主要マーケティングプラットフォーマーの動向」をまとめた『マーケティング最新動向調査 2023』は、翔泳社のECサイト「SEshop」でのみ販売しております。

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この記事の著者

那波 りよ(ナナミ リヨ)

フリーライター。塾講師・実務翻訳家・広告代理店勤務を経てフリーランスに。 取材・インタビュー記事を中心に関西で活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2023/05/22 09:39 https://markezine.jp/article/detail/42085

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