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第106号(2024年10月号)
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あらゆる業界の売上、CV増に貢献!LINE×Criteoが実現する新次元のレコメンド

 CriteoはLINEヤフーによる協力のもと、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(以下、DAC)、電通デジタル、Micoworksの3社それぞれと協業で「レコメンデーション メッセージ for LINE公式アカウント Powered by CRITEO」を開発、実証実験を経て2023年6月にβ版を発表した。本記事では、本ソリューションに携わった5社にソリューションの詳細や各社の事業戦略、その戦略における今回のソリューションの位置付け、今後の展望を聞いた。

LINE×Criteoで高度なレコメンドを実現

MarkeZine編集部(以下、MZ):まずは、「レコメンデーション メッセージ for LINE公式アカウント Powered by CRITEO(以下、本ソリューション)」の概要を教えてください。

蓑輪:本ソリューションはCriteoの高度なAI技術と、Criteoが所有する膨大な購買データを活用してLINE公式アカウントのユーザーの興味関心を分析、ユーザーごとにパーソナライズされた最適なレコメンデーションメッセージを配信して、ユーザーとのエンゲージメント強化をサポートするソリューションです。これは、Criteoとしてグローバルで初めてとなる試みであり、今回のために日本で初めて技術提供しました。

レコメンデーション メッセージ for LINE公式アカウント Powered by CRITEOのサービスイメージ
レコメンデーション メッセージ for LINE公式アカウント Powered by CRITEOのサービスイメージ

蓑輪:LINE公式アカウントに加えて本ソリューションを活用することで、企業やブランドはセールやキャンペーンの情報だけでなく、ユーザー一人ひとりの興味関心に合わせてパーソナライズされた商品情報を届けることができるようになります。

 CRITEO株式会社 セールスディレクター 蓑輪 誠一 氏
CRITEO株式会社 セールスディレクター 蓑輪 誠一氏

MZ:このソリューションはどのような経緯で開発されたのでしょうか?

宮本:LINE公式アカウントの「友だち」が、企業が保有する会員情報とLINEのユーザーID連携を行うことで、企業側とLINE側の両方のユーザーのデータを使ってパーソナライズした情報の配信が可能になります。しかし、すべてのユーザーがID連携をしてくれるわけではないため、非ID連携のユーザーに対してはパーソナライズした情報を配信できず、せっかくの「友だち」関係を上手くコンバージョンにつなげられないことが課題となっていました。

 その中で、Criteoの方々と意見交換したところ「CriteoのデータとLINEのユーザーIDをマッチングすれば、非ID連携ユーザーにもパーソナライズ配信ができるんじゃないか」というアイデアが生まれたんです。実現すればCookieを使わずにユーザーリストベースでコミュニケーションができ、広告商品としても大きなニーズが見込めると判断し、開発をスタートすることになりました。

LINEヤフー株式会社 マーケティング ソリューションカンパニー ビジネスPF統括本部 ビジネスソリューション開発本部 本部長 宮本 裕樹氏
LINEヤフー株式会社 マーケティング ソリューションカンパニー ビジネスPF統括本部 ビジネスソリューション開発本部 本部長 宮本 裕樹氏

蓑輪:開発に当たっては、いくつかの企業にお声がけし、ソリューションの趣旨に共感してくれたLINEテクノロジーパートナー(コミュニケーション部門)(以下、テクノロジーパートナー)の電通デジタルデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(以下、DAC)Micoworksの3社にご協力いただくことになりました。現在、本ソリューションβ版の販売もこの3社によって行われています。

電通デジタルが本ソリューションで目指す「マイルドCRM」とは?

MZ:テクノロジーパートナーの3社に、本ソリューションのどのような点に魅力を感じているか、貴社のビジネス戦略において本ソリューションをどのように位置付けているか聞いていきます。まず、電通デジタルの杉浦さんからお願いします。

株式会社電通デジタル 副社長執行役員 杉浦 友彦 氏
株式会社電通デジタル 副社長執行役員 杉浦 友彦氏

杉浦:電通デジタルは「マーケティングの力でクライアント企業の事業成長をドライブすること」をミッションに掲げています。このミッション達成に欠かせない施策の一つがCRMですが、近年、マスに近いオーディエンスに配信するフロー型の広告投資と比較して、企業が一人ひとりの顧客と向き合い、より快適な体験を提供する「ストック型」のCRMが重視されるようになっています。しかし、ストック型のCRMはどうしても縮小均衡になる傾向があって、数は取れません。一方フロー型の場合、数は取れるけれども無駄打ちも多いというデメリットがあります。

 そこで電通デジタルが提唱しているのは、フロー型の広告とストック型のCRMの中間くらいの関係性を目指す「マイルドCRM」です。簡単に言うと「顧客とゆるやかにつながって、顧客が喜ぶ情報を提供し、ちょっとずつ好きになってもらう」戦略なのですが、これに欠かせないツールがLINEです。というのも、「LINEのユーザーID連携まではしないけど、『友だち』としてゆるくつながっている層」こそが、マイルドCRMの主なターゲットだからです。

 ただ、この層はリッチなデータが集まりにくく、なかなか上手くアプローチできない状況が続いていました。そんな中でCriteoから提案されたのが本ソリューションの共同開発です。ID連携の有無に関わらずオプトインをしたユーザーにパーソナライズした情報を配信できる本ソリューションは、画期的なソリューションになり得ると確信し、参画を決めました。

 当社はLINEヤフーパートナープログラムのテクノロジーパートナーとして、顧客体験をリッチ化するメッセージング管理ソリューション「TONARIWA」を長年多くのお客様に提供してきたので、プライバシーに配慮したテクノロジーの実装や、お客様への価値提供についても、クリアなイメージが湧きました。

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Criteo事例集 レコメンデーションメッセージ for LINE公式アカウント Powered by CRITEO

広告主のEC売上向上を加速する強力な「武器」に

MZ:続いて、DACが本ソリューションの開発に参画した背景について教えてください。

デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社 上席執行役員 齋藤 充 氏
デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社(DAC) 上席執行役員 齋藤 充氏

齋藤:DACは1996年の創業以来、常に「次にどんな価値を提供していくべきか」を問い続け、時代のニーズに応えるサービスを次々に提供してきました。2022年5月にはコロナ禍を機に加速したEC市場の拡大を受け、それまで個別に対応していたEコマース領域のサービス、ソリューション、ツールを集約・統合、企業のEC事業を横断的に支援する「Cross Commerce Studio」という組織を設立。その中でCriteoから本ソリューションの開発を提案いただきました。

 DACはメッセージング管理ソリューション「DialogOne(R)」の開発・提供などを通じてLINEを活用した企業とユーザーのOne to Oneコミュニケーションの支援を推進してきました。同時にCriteoのソリューションも積極的に活用しており、2022年にはCriteoのパートナープログラム「Criteo Tech Partner」において、「Data Feed Partner」「Tag Partner」の認定を受けるなど強固な信頼関係を構築しています。

 本ソリューションはLINEヤフーとCriteoのそれぞれの強みを最大限に活かしたソリューションであり、これなら必ず企業やブランド、そしてユーザーの皆様に新たな価値を提供できると思い、参画を決めました。開発中に行ったPoC(実証実験)でも本ソリューションは仕組みがわかりやすく、しかも効果が非常に高いことが実証できたので、今後DACが顧客企業のEコマースを支援していく上で強力な「武器」の一つになると期待しているところです。

ユーザー・企業・事業会社にとって「三方よし」の座組みを作る

MZ:Micoworksが本ソリューションの開発に参画した背景について、八重樫さんに伺います。

Micoworks株式会社 取締役 COO 八重樫 健 氏
Micoworks株式会社 取締役 COO 八重樫 健氏

八重樫:Micoworksは2017年に設立したまだ若い企業ですが、2030年までに「アジアNo.1 のBrand Empowerment Company」を目指すことを中期目標として掲げています。この目標を達成する上で最も大切にしていることは、「必ず成果を出すこと」。成果が出ないサービスは真っ先にコストカットの対象となり、使い続けてもらうことが難しいからです。

 本ソリューションは、最初にご提案いただいた段階で成果が出るソリューションである可能性が非常に高いと感じたので、迷わずPoCに参画させていただきました。

MZ:本ソリューションの中で特に評価している点を教えてください。

八重樫:成果を創出するためには、「(1)データ」と「(2)配信面」と「(3)クリエイティブ」が重要になります。その中で本ソリューションは、「(1)エンドユーザーの方のタイムリーなアクションデータ」をもとに、「(2)LINE公式アカウントという視認性の高いPush媒体」で、「(3)カルーセルで複数のクリエイティブを配信する」ことで、ユーザーの興味に合わせたコンテンツをその人ごとにお送りすることができます。

 「(1)エンドユーザーの方のタイムリーなアクションデータ」に関しては、これまでLINE公式アカウント上のコミュニケーションは、年齢層・性別・地域を指定したセグメント配信が中心となっていました。しかし、本ソリューションではユーザーのタイムリーなアクションに基づいたデータが使えるようになっています。

 「(2)LINE公式アカウントという視認性の高いPush媒体」に関しては、本ソリューションを活用すれば、これまでPull面で配信していたCriteoのリターゲティング広告をLINEでのメッセージ配信という形でPushできます。これは、活用される企業にとって非常に大きなメリットだと思います。

 「(3)カルーセルで複数のクリエイティブを配信する」は、配信を受け取る側のユーザーの皆さんが自身の興味・関心に合わせてパーソナライズされた商品からお気に入り商品を選べるというコンテンツとして楽しめるメリットがあります。

 ユーザーと利用企業のメリットが明確だからこそ、私たちソリューションの提供会社もお客様に提供しやすく、自社の成長につなげられます。つまり、本ソリューションはユーザー・利用企業・ソリューション提供会社の3者がwin-winになる「三方よしの座組み」を実現できるんですよね。まだβ版の発売が始まったばかりですが、今後さらにより良いソリューションにブラッシュアップしていけるよう、当社としても引き続き注力していきたいと考えています。

メッセージ1通当たりの売上が約3.4倍になった事例も!PoCで得られた確かな手応え

MZ:開発に当たって、PoCを実施されましたが、それぞれどのような成果が得られましたか?

杉浦:当社では某ラグジュアリーブランドのLINE公式アカウントでPoCを行いました。PoCで検証したのは「(1)ユーザーがどの程度積極的にレコメンドメッセージにオプトインしてくれるか」「(2)オプトインしたユーザーがメッセージにどんな反応を見せるのか」の2点です。

 具体的には「靴を探しているユーザーに、LINE公式アカウントからそのブランドの靴をおすすめするメッセージを配信する」という形で検証したのですが、結果としてCTRが50%を超えるなど、期待よりも高い成果を得ることができました(電通デジタル社調べ)。

齋藤:DACではスポーツ用品大手ゼビオさんの協力を得てPoCを実施しました。ゼビオさんはLINE公式アカウントを開設して約1年半で友だち追加数を190万人まで増やしているのですが、LINE公式アカウントのメッセージ配信において、配信内容がセールやクーポン情報に偏っていること、アノニマスおよびLINEのユーザーID連携が未連携の友だちに対してパーソナライズ化した情報の発信ができていないことの2点が、ECでの売り上げを上げる為の課題として捉えていました。

 PoCではゼビオさんのユーザーIDとCriteoの購買データをマッチングして取得した「興味・感心情報」をもとにパーソナライズしたメッセージ(商品紹介)を配信したところ、通常配信時に比べてECサイトで購買したユーザー数が約4.5倍に、メッセージ1通当たりの売上も約3.4倍に増加するという非常に良い結果が得られました(DAC社調べ)。

 ゼビオの担当者からは「ぜひ、グループ内の他のECサイトでも導入したい。将来的には店舗のデータも統合して活用したい」など、前向きなお声をいただいており、DACとしても非常に大きな手応えを感じています。

八重樫:当社は人材大手のパソナさんとPoCを行いました。パソナさんのLINE公式アカウントではこれまで全ユーザーに同一内容の「お仕事紹介メッセージ」を送っていましたが、PoCでは個々のユーザーの希望条件(時給・勤務地・職種など)に合わせてパーソナライズした内容でメッセージを配信しました。

 その結果、LINE公式アカウントのユーザーによるパソナの会員登録数と既存会員のお仕事応募率が大幅に増加し、パソナさんにも非常にご満足いただけました。

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Criteo事例集 レコメンデーションメッセージ for LINE公式アカウント Powered by CRITEO

LINEとヤフーの統合による配信ボリューム大幅増に期待。グローバル展開も視野に

MZ:いずれも期待以上の効果が実証できたようですね。この結果を踏まえ、今後のビジネスの展望をお聞かせください。

宮本:本当に驚くほど良いパフォーマンスが出ていて、改めて本ソリューションのすごさを実感しています。ただ、先ほど杉浦さんからもご指摘があったとおりボリューム面に課題があることは確かなので、LINEヤフーとしても各企業がLINE公式アカウントで「友だち」を増やしやすくする取り組みを加速していきます。

レコメンデーション メッセージ for LINE公式アカウント Powered by CRITEOロゴ

杉浦:それは、楽しみですね! ここ数年デジタルマーケティングを取り巻く環境の変化がますます加速しているので、何事もスピード感をもって取り組むことが重要だと思います。今回のようなソリューションもまずはトライしてみる。そしてそこで得た学びを通じて意思決定の精度と速度を上げていきながら、広告主である企業もユーザーも、事業会社もプラットフォーマーも含め広告に関わるすべての立場の人がハッピーになるような新しいスタンダードを創っていきたいですね。

LINE運用をフックに「顧客接点の再構築」を提案

MZ:DACの齋藤さん、Micoworksの八重樫さん、Criteoの蓑輪さんはいかがでしょうか。

齋藤:目下の課題は、本ソリューションのような優れたソリューションを顧客企業に紹介するだけでなく、そのソリューションを使って顧客企業が経営課題を解決できるようサポートする体制の整備です。顧客企業によってはそもそもCRMとマーケティングの部署が分かれていることもが珍しくないので、そういったケースでもデータを有効に活用して確実に効果を出せるように、ソリューションチームだけでなくコンサルチームも投入してより大きな価値を提供できる体制を整えていきます。

八重樫:最近、クライアントとの対話を通じて実感しているのは、企業がエンドユーザーとの接点を再構築すべきタイミングが来ているということ。というのも、今の時代、家族や友人とのやり取りに使う手段としてLINEなどのコミュニケーションアプリやSNSが主流になっているのにもかかわらず、企業とユーザーの間ではいまだに電話やメールでのコミュニケーションが前提のままなんですよね。それが企業とユーザーとの円滑なコミュニケーションを妨げていることは否めません。

 主なコミュニケーション手段をLINEに切り替えるだけで、企業と顧客の距離感はぐっと近づくはずです。こう考えると、LINE公式アカウントの活用というのは単にマーケティング担当者の課題というだけでなく一つの経営課題でもあるんですよね。当社では今後もクライアント企業に経営戦略としてLINEの活用をご提案し、確かな成果を出すことを通じてお客様の事業・自社事業の成長につなげていきたいと考えています。

蓑輪:これからはオンライン・オフラインを問わず、データをいかに集めて統合し、活用するかがビジネスの成否を大きく左右する時代。これからも、ぜひ5社で力を合わせてデジタルマーケティングの新時代を築いていきましょう。Criteoもコマースメディアとして、あらゆるタッチポイントで最適なユーザーに最適な広告を提供することをミッションに、引き続きデータの収集と活用に取り組み、優れたソリューションの提供を通じてデジタルマーケティングの発展に貢献してまいります。

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2023/10/17 17:19 https://markezine.jp/article/detail/43263