OJTで共鳴してもらえる喜びを実感 今後は「企画」で社会課題の解決も
——仕事をするうえで、自身ならではのこだわりがあればお聞かせください。
松田:入社5年目くらいから担当する役割が変わったことで「踏ん張るところで踏ん張らねば」という意識を持つようになりました。人間はやはり、気を抜いていると「これで良いか」と楽をしたくなると思うんです。私自身、眠気に負けそうなときもたくさんあります(笑)。ですが、「妥協していては何も新しいものは生まれない」と自分を奮い立たせ、最後まで考え抜く。これは他人に評価してもらうものではありませんし自己満足かもしれませんが、自分のけじめとして「踏ん張る」ことを大切にしています。
橋爪:入社して1年ほどは先輩について仕事をしていたのですが、「先輩ってお笑い芸人みたいだな」と思ったんです。
お笑い芸人は所属する事務所こそありますが、あくまでその芸人さんの魅力によって、仕事が舞い込んできますよね。常にその場で臨機応変に頭を回転させながら、その人にしかできない芸を披露するから人気を掴んでいくのではないかと思っています。
同じように、広告業界でも「この人にお願いしたいから」と仕事をいただくことが多いように感じます。一方で私自身はどうかと考えてみたときに、今先輩のもとを離れて「私と同期のAさんとどっちに仕事をお願いしたいですか?」とクライアントに聞いたら、答えとして返ってくるのはおそらく「どっちでも良い」だと思ったんです。「本当の意味で成長するためにはどうしたら良いか」を強く考えるようになったのは、この気づきがきっかけだった気がします。自分にしかできないことはなにか。自分にしかない価値はなにか。それを考え、提供できるように意識しています。
——最後に、今後チャレンジしたいことや磨いていきたい強みについてお聞かせください。
橋爪:現在はウェブ系のUI/UXを手掛けることが多いのですが、ウェブ以外の制作にも興味があります。過去にフィジカルなプロダクトを手掛けた際、今まで取り組んできたデジタル上とは通用しない部分もありとても苦労しました。ですが、ゼロからUXを検討しそれをUIに落とし込んでいく作業が楽しくもありました。「デジタル」といってもさまざまな領域で活用が進んでいますし、個人としても制作の幅を広げていければと思います。
もうひとつ取り組みたいことは、制作する仲間を増やすことです。現在、若手社員のOJTトレーナーをつとめて2年目なのですが、自分が提案しようとしていることや作り出したものに共鳴してくれることがこんなに嬉しいのだと日々実感しています。ひとりでは自分の立場や考えしか取り込むことができませんが、仲間が増えれば新たな視点も広がるはず。「みんなで取り組めば良いものができる」を体現していきたいですね。
松田:持たざるものは誰なのかと考えてみると、今の時代は若者なのではないかと思います。若者をターゲットにした企画に携わることも多いですが、実際に若い世代がマイノリティになっており、元気もなくなっているように感じています。「さとり世代」という言葉もありますが、本当はやりたいことがありながら、経済的な理由などで諦めてしまっている人も多いのではないでしょうか。ここ最近の小学生のなりたい職業ランキングではYouTuberが上位にランクインしていますが、ある意味で一発当てないと好きなように生きられないことができないといったムードの表れでもあると感じました。その風潮の打破も、取り組みたいことのひとつです。
それを「総合制作事業会社のいちプランナーとして何ができるのか」というのも普段から考えていることです。汎用的なスキルでもある「企画」は、社会課題を解決するためにも必要なはず。広告以外のフィールドでも私たちの制作力や実行力を使いながら、「それって広告なの?」と思われるようなチャレンジも積極的に行っていけたらと思っています。
また、私たちの仕事は、「売上を上げる」「認知を拡大する」など企業の目的を果たすことが大前提ではありますが、それだけではあまりハッピーじゃないと個人的には思っていて……。私がとくに気になるのは、アウトプットしたその先。生活者がどんな気持ちになったのか。どのような価値を受け取ったのか。そこまで見据えた企画づくりも大切にしていきたいです。