初動から数値に変化が! ASCがマーケティングの現場に与えた影響
マルコのASC活用は、CV数増加とCPA改善の両方を目標に、既存の予算の範囲内でスタート。すると、比較的早い段階でクリック率や獲得率などすべての指標で従来のキャンペーンよりも高い水準を記録した。
この結果について、ソウルドアウトの大長氏は、「従来のキャンペーンに比べて、最適化のかかるスピードや立ち上がりが早いと感じました。特に初期段階では、AIに学習させるために大量のデータを送る必要があり、ある程度の予算投下が不可欠になるものですが、ASCは予算規模に関わらず、しっかりと初動から成果が出やすいと見ています」と説明。
加えて、Facebook Japanの西川氏は「ASCではジャンルのデータやアドアカウントの他のデータなども学習に活用されるため、比較的効果が出やすく、立ち上がりが早いという傾向が全体的にあります」と説明した。
ASCによる自動最適化は、マルコのマーケティングに様々な影響をもたらした。大長氏と同じくマルコの支援に携わっているソウルドアウトの石原氏は「Meta広告施策は、データ、ターゲティング、クリエイティブの3つの側面から効率改善を試みます。このうち、データとターゲティングの2つの要素がASCで自動最適化されるようになったため、さらなる飛躍のためにクリエイティブの改善に注力できるようになりました」と振り返る。
縦型動画の広告も開始し、さらなる相乗効果が
広告クリエイティブの改善を目指し、マルコとソウルドアウトがチャレンジしたのは「縦型動画広告」の制作だ。
マルコの場合、Instagram広告では、顧客の悩みに寄り添ったリアルなクリエイティブが刺さることがわかっていたため、お客様や各店舗のスタッフのリアルな様子を撮影すべく、全国の店舗を横断して回った。また、広告のスキップ率やCPAを左右する冒頭2秒のクリエイティブ分析も行ったほか、ユーザーに飽きられないようコピーを抽象化し、別の表現に変えたりするとで動画の本数を増加。クリエイティブの鮮度を保ち、継続的に成果を出せるよう工夫した。
人によるクリエイティブの改善と、AIによる配信の自動最適化が相乗効果を発揮し、CVに繋がる。その広告結果をAIが学習することで、さらなる効率化が進んでいく。これによる効果はリアルに実感できるほど大きく、コールセンターに問い合わせが殺到したこともあったという。
ASCの有効性を確信したマルコは、広告出稿額をASC活用前の1.3倍にした。予算を増加させたにもかかわらず、CPAは半分ほどになったそうだ。
ソウルドアウトにとってマルコとの取り組みは、ASC攻略の先駆け的な事例として位置付けられている。社内でも縦型動画にもっと注力しようという機運が高まり、2023年11月からは企業のマーケティング施策における縦型動画を研究し、顧客の成果向上に向けた専門組織「TATE-AGE(タテアゲ)」を発足した。一定額以上のMeta広告を継続的に配信している顧客に対して、縦型動画を無償で一定期間提供するサービスも開始し、1回につき3本×PDCA計3回分の制作費が無料で試せるといったパッケージを提供している。
予算に限りがあり、リスクを取りづらい広告主でも、実際に試してみて成果が出れば、投資の決断がしやすくなるだろう。