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エンタメ性重視で動画総再生数5億回突破。大丸松坂屋百貨店が自社の運用ノウハウを伝えるSNSマーケ支援

 大丸松坂屋百貨店発のSNSアカウント『おかたべ』では、海外に向けたノンバーバルのエンタメ動画で総再生数5億回、フォロワー60万超を獲得。後続の『WAZA Studio』では、1ヵ月で300万再生を記録した。同社ではそこで得た知見を、企業アカウント立ち上げなどのSNSマーケティング支援を行う「インフルエンサー事業」に活かし、ブランドから高い評価を得ているという。同社がSNSに注力し、成功に至った経緯や、同社がアカウント運用並びに企業向け支援サービスにおいて注力するポイントなどについて、DX推進部の岡﨑氏と大川氏にうかがった。

自社アカウントをグローバル規模にまで成長

━━貴社は近年自社SNSアカウントの運用に注力し、人気を得ています。一般ユーザーからの反響はいかがですか。

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大丸松坂屋百貨店 本社 DX推進部 部長 デジタル事業開発担当 岡﨑路易氏
2004年に大丸(現:大丸松坂屋百貨店)に入社し、ショップ店長などを経験したのちに、財務部で予算編成、経営企画部でM&Aなどを担当。その後2018年にヤフー(現:LINEヤフー)に転職し、CFOのもとで経営企画業務に従事。2020年、百貨店のビジネス・デジタルネイティブの企業経営の双方を理解していることから再入社を打診され、DX推進部の部長に就任。大丸松坂屋百貨店のデジタル面の収益基盤を考案・統括する新規事業の旗振り役として、これまでサブスク・EC・メタバースなど非店舗型の複数事業を創出。時間と場所の制約がある店舗ビジネスに過度に依存しない、デジタルネイティブのビジネスを開発することがミッション。

岡﨑:当社が運用しているSNSアカウント『おかたべ』では、エンタメ系の動画コンテンツ投稿で国内での人気を得た後、非言語の表現を用いた動画へとシフトしたことで東南アジアを中心としたグローバルにも波及しました。現在では総フォロワー数は60万超に。総再生回数は5億回を超えています。一番伸びている動画では7,900万回以上再生されていて、日本国内のみへアプローチしていた頃と比べると、視聴回数が1ケタ多い状況です。

 また、2025年5月には『WAZA Studio』というアカウントを立ち上げました。日本の伝統工芸の良さ・美しさ・技術を、世界に発信して認知を高めることで、日本文化の継承と進化に貢献することを使命として運用しています。

 立ち上げてからわずか1ヵ月で、欧米を起点として総フォロワー数は4万超え、Instagramでは300万回以上再生されている動画を生み出すことができました。グローバル規模でアカウントを成長させた『おかたべ』の成功を『WAZA Studio』でも再現できたことは、我々のアカウント立ち上げ・運用の手法に再現性があるという証左でもあると考えています。

左から『おかたべ(@okatabe)』『WAZA Studio(@waza_studio)』の各コンテンツ例
(一部抜粋/画像をクリックすると拡大します)

「情報ファースト」ではなく「エンタメファースト」

━━自社アカウントでのノウハウを活用し、BtoBのインフルエンサー事業も展開されているとうかがいました。こちらではクライアント企業から評価を得ているようですが、どのような声があるのか教えてください。

岡﨑:クライアントにはいわゆるナショナルクライアントが多く、ショート動画制作やSNSアカウントの立ち上げや立て直し、そして運用までも受託しています。過去には大手食品メーカーとのタイアップ動画も多く制作してきました。

 ご評価の一例として、大手人材派遣企業の代表からは「自社では考えつかないようなエンタメ性の高い企画や制作をしてくれている」と高く評価いただいており、今ではショート動画だけでなく、長尺のドキュメンタリー動画の制作も行っています。

 企業がコンテンツを制作するときは、企業側からの伝えたいことを優先にする「情報ファースト」になりがちです。しかし、ユーザーは自ら「情報を知りたい」と思っているとき以外は、企業からの情報はあまり必要としません。そこで、当社では「情報ファースト」ではなく「エンタメファースト」で、まずは「おもしろそう」と感じていただける動画を制作し、その後に、企業が取り組んでいるビジネスをユーザーに理解してもらえるようにしています。

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━━百貨店として事業を長く展開されてきた中で、インフルエンサー事業の取り組みに至ったのはなぜでしょうか。

岡﨑:コロナ禍を機に多くの新規事業を立ち上げてきた中、店舗の場所以外に百貨店の強みを考えたとき、「店頭での経験」があると考えました。百貨店の販売員は、一般の人がなかなか知らないような情報を知っており、ユーモアを交えながらわかりやすく魅力を伝えるといった土壌ができあがっています。その土壌を、SNSで活用すればマネタイズできると考えたのが当初のきっかけです。

 まず自社アカウントを作り、ノウハウを溜め、その実績をもとに企業クライアントから案件をお請けするBtoBビジネスモデルへ、という流れは当初から想定していました。しかし当然ですが、現在のようなアカウントづくりを実現する知見や体制に至るまでには紆余曲折があります。

過去の試行錯誤が今の強みに。エンタメ性を支える経験と体制

岡﨑:当初の「おかたべ」は社員インフルエンサーが運用しており、そこで先述のエンタメ性の重要さを理解することとなりました。その段階でも登録者数が15万人ほどまでは増えましたが、より拡大するためにリブランディングを実施。エージェンシー「FOR YOU」のタレントに出演いただく体制に切り替え、その体制を活かしながらより多くの方々に届けられる非言語のコンテンツを検討したのです。その結果、国内の若者とコミュニケーションを取るだけではなく、グローバル規模でのバズまでも生まれるようになりました。その後FOR YOUには、当社グループからCVCを通して出資もしています。

 もちろん自社アカウント運用の過程では失敗もありましたが、社員インフルエンサー時代にエンタメ性の重要さを理解し、その持続可能な体制とグローバル規模での成長を目指して、先鋭化させてきた結果が今の結果につながっています。

━━自社アカウントを通じての具体的な取り組みや、最近の人気コンテンツについてお聞かせください。

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大丸松坂屋百貨店 本社 デジタル戦略推進室 DX推進部 デジタル事業開発担当 大川尚久氏
住宅設備メーカーや芸能事務所で営業を経験した後、2023年にインフルエンサー事業のビジネスプロデューサーとしてキャリア入社。インフルエンサー事業において、SNSアカウントの立ち上げやプロデュースを通して、顧客の商品・サービスの魅力を伝えることに注力。

大川:「おかたべ」のコンテンツはやはりエンタメ性を意識した動画なのですが、演者の喜怒哀楽の表現を含め、すべて非言語で表現するコントが人気を呼んでいます。たとえば、(実は食べられる素材でできている)炭酸飲料のペットボトルを食べてしまうというビックリ・ドッキリ感のある動画が大きく跳ねました。

大川:海外でも影響力を持つアカウントへと成長したことで、2025年2月には、タイの国民的俳優がプロデュースするバンコクの日本食レストランのPR動画を受注。『おかたべ』アカウントで投稿し、80万回以上の再生数を記録しました。

岡﨑:インフルエンサー事業では、FOR YOUの出演陣をはじめとしたクリエイターとの共創を意識しており、これがクリエイターを応援するという当事業のミッションだけでなく、ブランドの成果にも深く結びついています。

 同事業のチーム自体も映像コンテンツの企画や制作に強い人材などを他業種からも積極的に採用しており、個々のスキルを活かしています。このチームがコンセプトづくり、コンテンツ企画や運用などの軸を担いながら、外部のフリーのカメラマンや編集者、ディレクターなどと一緒に企画や制作をしているのが特徴です。

 企画だけを行って動画制作の部分はすべて制作会社に丸投げするといった方法ではなく、クリエイターとともに価値共創し、ご自身の実績にもしていただくことで「一緒に作って良かった」と思っていただける関係になるように心がけています。

企画から分析レポートまで伴走しアカウントを成長させる

━━BtoBのインフルエンサー事業の、基本的なサービス内容を教えていただけますか。

大川:一つ目はアカウント運用研修です。「自社アカウントを盛り上げたい」「インフルエンサーとの取り組みをしたい」という企業に対して、当社が自社アカウント運用で培ったノウハウやリスク管理などを伝える勉強会を開いています。また、クライアントの社員がいる場所までうかがって、社員の知識や技術をSNS発信に活かす方法を考案し、SNSアカウントで影響力をしっかり出せるようにする取り組みもしています。

 二つ目はクリエイターサービスです。一般的なインフルエンサーマーケティング支援に近いサービスとなっていますが、強みは当社で普段から信頼関係を築いているクリエイターをアサインできることです。細部までの企画や制作を提供できると考えています。

 三つ目はアカウントプロデュースです。クライアントのSNSアカウントのコンセプトや、投稿内容の企画・設計を伴走するものです。効果的に次の投稿につなげるためのレポートも実施して、アカウントを成長させていきます。

トレンドを追っても失敗する?アカウント立ち上げの鉄則

━━自社アカウント立ち上げや再起に悩む企業は少なくないと思います。貴社がクライアントにサービスを提供するときにはどのようなフローなのでしょうか。

画像を説明するテキストなくても可

大川:アカウント立ち上げから関わる場合は、まず、企業の目的やゴールをヒアリングします。ヒアリング結果を基に企画立案とコンセプト設計をして、Youtube・Instagram・TikTokのどの媒体を利用するかも決めます。内容が決まった後、動画制作を実施し、投稿作業と、投稿結果のレポートも行います。必要に応じて、広告運用などもさせていただきます。

岡﨑:特にアカウントのコンセプトを固めることには、時間をかけるようにしています。

 世の中の企業アカウントには「流行りのダンス動画」を投稿するというケースもあると思いますし、アカウントが順調に成長している過程では、ブームの取り入れとしてネットミームを活用するのはありだと思います。しかし、自社のアカウントの目的や目指す在り方とのつながりを考えずに、初手からとりあえずネットミームの動画を投稿するというのはビジネス上の価値、評価が得られません。そこでまず、「SNSを通じて本当にやりたいことは何か」、ミッション・ビジョン・バリューの意思統一に力を入れています。自社アカウント立ち上げから育成の経験がある当社だからこそ持つ知見、リアルな視点で、ファーストステップからご支援していきます。

 もちろん運用で発生しがちな社内連携の悩みなども我々が解決できることの一つです。たとえばクライアントへの研修では、社内のコンプライアンス部署などと、SNSで表現できる範囲を事前に定めるように伝えています。そうすることで、毎回他部署におうかがいを立てなくても、表現できる範囲内であればすぐにSNS投稿できるようになります。

国内ブランドも海外に目を向け始める今、SNS活用は必須

━━百貨店発のインフルエンサー事業として、今後の取り組みの展望についてお聞かせください。

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岡﨑:「情報ファースト」になっているがゆえに、ユーザーに情報を伝えきれていない企業はたくさんあります。そのような企業に対して、「企業の魅力」をしっかり発信できるようにお手伝いをしたいと思っています。

 また、今後、多くの企業が海外に目を向けていくと思います。そうしたときに、海外の人に企業を知ってもらう切り札として、SNSはとても効果的です。海外向けにどのようなコンテンツやフォーマットがウケるのかを捉えきれていない企業、海外展開をしていきたいと考えている企業に対しても、しっかりと力になっていきたいです。

大川:多くの企業から、「『WAZA Studio』のようなかっこいい動画を作りたい」というお問い合わせをいただきます。『WAZA Studio』では職人による制作過程をお見せしていますが、たとえば飲料の製造工程を魅力的に見せるなど、自社ではおもしろく、かっこよく表現するのが難しい内容も当社は得意としています。そのような動画を作りたいがノウハウがない、という企業のお悩みをエンタメ性もある動画を制作して解決していきたいです。

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この記事の著者

落合 真彩(オチアイ マアヤ)

教育系企業を経て、2016年よりフリーランスのライターに。Webメディアから紙書籍まで媒体問わず、マーケティング、広報、テクノロジー、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社 大丸松坂屋百貨店

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2025/08/29 10:00 https://markezine.jp/article/detail/49596