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その協賛、本当に効いていますか?──長期施策の効果測定を阻む「5つの阻害要因」と正しい測定法

 スポーツ施設の命名権で100億円規模の契約が締結されるなど、巨額投資のニュースが世間を賑わせている。こうしたネーミングライツやスポーツ協賛、テレビのタイムCMなど、年単位で露出を続ける「長期施策」は、いまやブランディングの主戦場だ。一方で、マーケティング投資に対する「説明責任(アカウンタビリティ)」はかつてなく厳しく求められており、投資が巨額になるほど「で、どんな効果があったのか?」という問いは重くのしかかる。短期施策なら売上の反応で説明がつくが、長期施策を同じ物差しで測ろうとすると輪郭がぼやけ、明確に説明することが難しくなる。本稿では、長期施策の「ブラックボックス」を解き明かすための、データに基づいた評価アプローチを紹介する。

長期施策はなぜ「効果の定義」が曖昧になるのか?

 本稿においては、企業が行うプロモーション活動のうち、数ヵ月から年単位で継続的に行われるものを「長期施策」と定義する。具体的には、テレビ番組のスポンサーとなる「タイムCM」、WebやSNSでの「常時動画広告」「スポーツチームのスポンサー」や施設や大会における「ネーミングライツ」「オウンドメディアの継続発信」などがこれに該当する(図表1)。

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【図表1】長期施策の例

 長期施策は、単発施策と違い、売上などの即時的な反応を目的としないケースが多く、リマインド効果の維持やブランド資産の構築が主目的である。その分、「誰の」「何を」変えるための施策なのかが曖昧なまま走り出しやすい。

 長期施策を行う際にまず必要なのは、ステークホルダーごとに「効果」を再定義し、納得感のあるKPIに落とし込むことだ。顧客への「ロイヤルティ向上」はもちろん、社員の「モチベーション向上」や投資家への「経営支持」など、多角的な視点が求められる(図表2)。

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【図表2】ステークホルダー別の長期施策の効果指標の例

従来の「効果測定」を阻む2つの落とし穴

 KPIが決まっても、それを正確に測ることは容易ではない。一般的に「定点調査」「シングルソース調査」などが用いられるが、これらの活用には、“長期施策ならではの落とし穴”があるためだ。

(1)定点調査の落とし穴:外部ノイズの混入

 定点調査は、年1回や四半期ごとなど、同一項目でアンケート調査を行い、KPI(認知率や好感度など)の推移を定点観測する調査手法である。KPI推移を追うのに向いている一方で、「KPIが上がった理由が長期施策によるものか」を特定しづらい。

【定点調査の課題】

・調査期間中、競合施策・自社の別施策・社会情勢など外部要因が混ざるため、KPIが上がっても、施策の影響とは言い切れない

・施策認知者vs非認知者の差分で効果を測定してしまうと、そもそも施策認知者は施策開始前から指標が高かった可能性(関与バイアス)もあり、正しい効果は測れない

(2)シングルソース調査の落とし穴:「期間」と「コスト」の壁

 同一人物に広告出稿の事前・事後の2地点調査を行うシングルソース調査を用いた効果検証は、短期施策では強力だ。シングルソース調査を用いることで、DID法(差の差法:施策前後の変化を「接触群」と「非接触群」の比較で捉え、外部要因による変動を差し引く手法)による分析が可能となり、純粋な広告効果を算出できる。しかし、長期施策の効果測定に適用するには「期間」の壁がある。長期施策を捉えようとして長期のシングルソース調査を維持しようとすると、以下の課題に直面する。

【シングルソース調査の課題】

・事前→事後の期間が空き、接触効果が減衰した状態を測ってしまう

・同一パネルを長期維持するほど離脱が増え、サンプル確保とコストが重い

 このように、トレンド把握に使われる「定点調査」も、短期施策検証手法として有力な「シングルソース調査」も、そのままでは長期施策の効果検証には活用しづらく、工夫が必要となる。

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長期施策の測定を歪める「5つの阻害要因」と正しい測定法

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この記事の著者

原野 朱加(ハラノ アヤカ)

株式会社野村総合研究所 マーケティング戦略コンサルティング部 エキスパートコンサルタント

マーケティング調査会社を経て2016年中途入社。データを活用したマーケティング支援を専門領域とし、民間~公共まで幅広いクライアントを支援。NRI認定データサイエンティスト。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

梶原 光徳(カジハラ ミツノリ)

野村総合研究所 マーケティング戦略コンサルティング部 グループマネージャー
2008年入社。以来、マーケティング×データアナリティクス分野を中心に、民間企業の
コンサルティングに従事。社内の新規事業の企画や立ち上げなども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2026/03/24 08:00 https://markezine.jp/article/detail/50493

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