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健康だけではない!「ウェルビーイングな商品」とは? 生活者の「自己実現」から捉え直す新市場の可能性

自動車・食品に見る「ウェルビーイングな商品」の正体

 では、企業はどのような商品・サービスを設計すれば、生活者をウェルビーイングへと導けるのだろうか。

 ウェルビーイングを単なる「健康志向」と捉え、健康になるための商品・サービス訴求に終始しているケースは少なくない。しかし、前章までの分析で、健康だけがウェルビーイングでないことが見えてきた。

 ここからは、「自動車」「食品・飲料」の2つのカテゴリーを例に、生活者が描く「ウェルビーイングな商品」の具体像を浮き彫りにしていく。

【図4】ウェルビーイングな自動車
Total=1227、とてもウェルビーイングな状態:n=155、ウェルビーイングな状態にある:n=671、ウェルビーイングな状態ではない:n=300
ベース:ウェルビーイング用語を「内容まで含めて知っている」+「なんとなくイメージできる」
(クリックすると拡大します)

 ウェルビーイングな自動車のイメージを尋ねたところ、全体(TOTAL:図の点線)では、1位「移動ストレスを減らし、心を穏やかにしてくれる車」(37.4%)、2位「自然への悪影響が少ない車」(37.2%)、3位「身体への負担が少なく、安心して乗っていられる車」(35.0%)という結果となった。

 1位と3位に関しては、ウェルビーイング実感の度合いによる大きな差は見られなかった。興味深いのは、2位の「自然への悪影響が少ない車」だ。「とてもウェルビーイングな状態」にあると答えた層が、全体平均(37.2%)を6.9ポイント下回っている。

 逆に、「とてもウェルビーイングな状態」の層がTOTALを大きく上回った項目(図の青丸)は、「地域社会を支える車」(TOTAL+6.2ポイント)、「自分の価値観・美意識を表現できる車」(TOTAL+8.5ポイント)、「デジタルとリアルをつなぐ『モバイル・ハブ』的な車」(TOTAL+12.0ポイント差)、「『映える』けれど、背伸びしすぎない車」(TOTAL+6.4ポイント)などであった。

 この結果から、一般的なウェルビーイングな車としては「ストレス軽減」「自然への配慮」「身体負担の少なさ」といった価値が重視されていることがわかる。一方、より高いウェルビーイングを実感している層においては、それらの機能便益に加え、「地域社会との接続」「自己表現」「美意識」「デジタルを通じた利便性」といった、より能動的・精神的な価値を重視する傾向がうかがえる。

【図5】ウェルビーイングな食品・飲料
Total=1227、とてもウェルビーイングな状態:n=155、ウェルビーイングな状態にある:n=671、ウェルビーイングな状態ではない:n=300
ベース:ウェルビーイング用語を「内容まで含めて知っている」+「なんとなくイメージできる」
(クリックすると拡大します)

 同じく、ウェルビーイングな食品・飲料のイメージに関しても聴取を行った。TOTALの上位は1位「栄養バランスに優れ、日々の健康を支えてくれる食品・飲料」(40.5%)、2位「環境や社会に配慮された食品・飲料」(30.2%)、3位「心を落ち着かせ、リラックスできる食品・飲料」(29.7%)となった。

 「とてもウェルビーイングな状態」の人に関しては、「栄養バランスに優れ、日々の健康を支えてくれる食品・飲料」(TOTAL-10.2ポイント)、「環境や社会に配慮された食品・飲料」(TOTAL-7.0ポイント)となった。

 一方で、この層がTOTALを5ポイント以上上回った項目(図の青丸)としては、「未来の健康や美容を『先回りケア』してくれる食品・飲料」(TOTAL+8.8ポイント)、「動物性を減らし、地球にもからだにもやさしいプラントベース食品・飲料」(TOTAL+6.3ポイント)、「集中を高める食品・飲料」(TOTAL+5.7ポイント)などが挙げられる。

 ウェルビーイングな食品・飲料としては、一般的には栄養バランス、環境・社会配慮、リラックスが想起されやすい。一方、高いウェルビーイングを実感している層においては、健康・環境配慮にとどまらず、「未来の健康・美容」「プラントベース」「集中支援」など、未来への備えや日々のコンディションを整える価値が重視されていることがうかがえる。

 今後は、「健康・環境への配慮」から一歩進んで、生活者の「未来への備え」や「状態を整える機能」まで含めた提案が求められるだろう。

【まとめ】生活者の「ウェルビーイング」を支えるパートナーとしてのブランド設計

 調査結果から、「とてもウェルビーイングな状態」にある人がイメージするウェルビーイングな商品とは、健康・環境・社会への配慮にとどまらず、より個人の想いや未来を支えるものであることが明らかになった。

 今後、ウェルビーイングを軸に商品やサービスを展開する際は、「体に良い」「環境にやさしい」といった機能訴求から一歩踏み込み、「その商品が生活者の理想の自分(自己実現)をどう支えるか」という生活文脈に沿って価値を翻訳・設計することが重要になる。それこそが、生活者のウェルビーイングを共に目指すパートナーとして、ブランドが選ばれるための鍵になるのではないだろうか。

<調査概要>

  • 調査地域:日本全国
  • 対象者条件:15~69歳男女個人
  • 標本抽出方法:マイティモニターより適格者を抽出
  • 標本サイズ:スクリーニングn=10479  本調査n=5434 
  • ウェイトバック集計:なし
    ※国勢調査に基づき性別・年代・地域を人口構成に合わせて回収
  • 調査実施時期: 2025年12月19日(金)~2025年12月22日(月)

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この記事の著者

濱 賢太郎(ハマ ケンタロウ)

株式会社インテージ マーケティングパートナー第2本部 営業推進部 未来共創センター長

大学卒業後家電メーカーへ就職、ワープロ、FAX、携帯電話、通信映像端末、太陽光発電の商品企画を担当。2013年株式会社インテージに入社し、国内外の生活者リサーチ、コンサルティングに従事。2017年「未来共創センター」を設立。企...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2026/05/26 08:00 https://markezine.jp/article/detail/50757

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