AIポリシーづくりは「巻き込み」から始まる
──AI倫理は、あらゆるシーンで立ち戻るべき「AI活用ポリシー」とも言い換えられるかもしれません。マーケターが自社のAI活用ポリシーを設計するとき、何から始めるべきでしょうか。
周囲を巻き込むことが重要です。ポリシーづくりは熱量を持って言葉を追求していく仕事で、人とぶつかっても前に進める力のある人が引っ張るのがいいでしょう。どの企業でも、「AIポリシーをどの組織がつくるのか」問題は宙に浮いていて、とくにコーポレートと情シスの間でお見合いになっています。
その断絶も含めて誰かが旗振りをする必要があり、CTOやCIO、CAIO、もしくはCMOにあたる人は必要ですね。熱量を持って人を巻き込める人と、Cクラスの後ろ盾、この組み合わせがうまく進むと思います。
押さえてほしいのは、AI時代のガバナンスは多層構造だということ。個人情報の自動マスクやMCPサーバーの監査ログなど、安全に使うためのシステムには大いに頼るべきです。そこにはまらないものはガイドラインなどのルールベースでカバーする。それでも必ずはみ出るものがあり、その判断にAIポリシーが活きてくるでしょう。

マーケターは企画をすることが多いため、この一番難しいラインに関与する場面が多いはずです。普段から生活者の行動を捉えている人たちだからこそ、「この表現だと、不快に思う人がいるんじゃないか」という気づきを持てると思うんです。
──AIポリシーについて議論するメンバーは、どう選ぶべきでしょうか。
外部有識者は機能すると思います。内部だけだと、成功体験の延長で考えてしまうからです。あとは年齢層や立場の多様性を確保し、多くの視点を持つようにすべきでしょう。
ただ、視点が増えると、「これ」という1つの答えにたどり着きにくくなります。そうなると、「不確実性に耐えられる胆力」が求められます。ネガティブ・ケイパビリティと言われるものですが、「これで良かったんだろうか」と問い続けることが、これからのマーケターには必要かもしれないですね。
「先に出したもん勝ち」──応募を迷っている方へ
──最後に、改めてアワードの話です。「こんな事例でもいいのかな……」と応募を迷っている方へ、メッセージをいただけますか。
「自社が思いついたことは、他の会社でも思いついているでしょ」と思うかもしれません。でも、実装できる企業となると一気に減ります。実装できている時点で自信を持っていいし、ぜひ発表していただきたいです。そして、表に出して評価を受けることも、今後の挑戦のための学びになるはずです。
それに、AIで7割くらいまでは手元でできてしまう世の中だからこそ、先に出したもん勝ちかもしれません。「自分にも作れる」で止まっている人と、実際に出した企業とでは、後者が断然強いですよ。
──お客様、そして自社のブランドに向き合った事例がたくさん届くことを願っています。本日はありがとうございました!
挑戦を恐れない、すべてのマーケターへ。
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