コミュニケーションの質向上と、組織横断での共通認識作り
MZ:取り組み全体を通して、どのような手応えがありましたか。
清﨑:従来は、「無料お試しセット」が請求されるまで、それを促すメッセージを定期的に配信していました。ただ、回数を重ねるほどブロックされやすくなる傾向にありました。そこで、配信間隔を空けたり一斉配信の回数を減らしたりと、届け方を見直しました。
その結果、1回の配信に対するお客様の反応数は大きく伸びました。配信数を増やすのではなく、1通ごとの質を高める方向へ切り替えられた実感があります。
有働:電通デジタルさんに支援に入っていただいてから、比較的早い段階で明確な成果が出ており、社内が大きくざわついたほどです。それまで当社にとってLINEは新規獲得のための単なるツールという認識が強かったのですが、電通デジタルさんのご提案は、その先を見据えたものだったと実感しています。
現在も、新規獲得チームとCRMチーム、それぞれのメンバーがいる中で、電通デジタルさんを交えて議論を続けています。今では、かつてあまり意識できていなかったID連携率にも着目できるようになりました。新たな施策のアイデアが生まれるだけでなく、それをどう実現するかまで含めて相談できる体制ができたことは、大きな変化だと感じます。
MZ:電通デジタル側で支援していく際に、意識したことはありましたか。
太田:実際にプロジェクトがスタートしてからの約1ヵ月間、熊本の本社に駐在させていただきました。社員食堂でランチをご一緒したり工場や「お客様プリーザー」様の実際の応対を間近で拝見したりと、再春館製薬所様の日常にどっぷりと身を置くことで、資料や言葉だけでは汲み取れない「独自の企業文化」や「お客様への真摯な想い」を肌で感じることを大切にしました。
また、オフラインイベントや新製品発表会にも足を運び、お客様のブランドに対する熱量にも直接触れています。徹底的に現場の解像度を上げるプロセスがあったからこそ、再春館製薬所様と同じ目線に立ち、ブランドのDNAを「『お客様プリーザー』のような誠実なデジタル体験」へ翻訳できたと考えています。
中村:有働様から「早い段階で成果が出た」とのお言葉をいただきましたが、プロジェクトを力強く推進していくうえでは、まずは現場の皆様に「数字に表れる手応え」を体感していただくことが不可欠でした。
私たちが重要視したのは、LINE単体での“部分最適化”に留まらないご支援です。LINEを顧客接点の中核となる「戦略チャネル」として位置づけ直した際、マーケティングスキーム全体をどう変革していくべきか。スキームが変われば、それにともなって先ほど申し上げたような業務プロセスも当然変わっていきます。当然ながら、長年定着していたやり方を変えることには現場の戸惑いもあり、一筋縄で進んだわけではありません。
だからこそ、新規獲得チームとCRMチームの双方を巻き込み、組織横断で共通言語を持ちながら伴走できる体制を構築できたことに、私たち自身も大きな手応えを感じています。
LINEを起点に広げる、顧客接点の全体最適化
MZ:最後に、今後の展望をお聞かせください。
有働:今回のLINEを活用したプロジェクトを通して、チーム間の連携体制を強化するうえで大きな足がかりになったと思います。今後はLINE以外の領域も含め、さらなる全体最適化を進めていきたいと考えています。
清﨑:今回のプロジェクトを通して、他部署でもLINEの可能性を感じてもらえるようになりました。イベント時の導線設計なども含めて、社内でのLINE活用の相談が増えているので、今後はそうした広がりも推進していきたいです。
太田:LINEの運用については、清﨑様のお話にあった「他部署での活用」を後押しすべく、この約1年間で蓄積した知見を「プレイブック(虎の巻)」として体系化し、将来的に再春館製薬所様内で自走できる体制作りを進めているところです。今後はさらに、LINEという枠に閉じず、有働様がおっしゃるような「顧客接点の全体最適化」を目指してマーケティング全体に貢献できるようご支援の幅を広げていきたいです。
中村:「ドモホルンリンクル」は誕生から50年という大きな節目を迎えられ、再春館製薬所様は現在、キーメッセージとして「ポジティブエイジカンパニー」を掲げていらっしゃいます。私たちはその素晴らしいビジョンの実現に向けて、単なるデジタルツールの運用支援に留まることなく、事業戦略そのものに寄与し、成長をともにドライブしていく戦略的パートナーとして、これからも深く伴走してまいります。

