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グンゼのマーケティング組織立ち上げに学ぶ、社内変革のリアル 「アセドロン」ヒットの裏側【後編】

 前編では、創業130年の老舗繊維製品メーカーであるグンゼが、「アセドロン」のヒットを生み出した裏側を紐解いた。続く後編では、この成功をけん引した新設マーケティング部門の軌跡に迫る。縦割だった組織を再編し、アンカーの役割だった販促部から、トップバッターとアンカーの両役を務めるようになったマーケティング部門は、いかにして社内の壁を乗り越え、新たなブランドの形を作り上げたのか。

前編はこちら

 2024年3月に発売開始したヒット商品、グンゼ「アセドロン」。前編では、生活者の真のペインである「汗のベタつき」を特定した調査や、未充足ニーズを起点とする独自のマーケティングスキームの確立など、ヒットを生み出した開発・マーケティングの裏側を紹介しました。

グンゼ、マーケティング組織新設の背景

──グンゼのアパレルカンパニーにおける、マーケティング組織の成り立ちから教えてください。

 2023年4月のアパレル事業の組織再編が出発点です。

 それまでは、インナーウェア・レッグウェア・ハウスウェアといった品種ごとに事業部が分かれた縦割り構造でした。そして、事業部ごとに販促機能が存在しており、独立して動いていました。私自身もレッグウェア事業部で販促を担当していたのですが、事業部間でのライバル意識もありましたね(笑)。

グンゼ株式会社 アパレルカンパニー 営業MD本部 商品企画部 マーケティンググループマネージャー 日和 崇氏 (※役職は取材当時)
グンゼ株式会社 アパレルカンパニー 営業MD本部 商品企画部 マーケティンググループマネージャー 日和 崇氏
(※役職は取材当時)

 そして、販促部門がある会社にありがちなことだと思いますが、当社も商品開発が完成した状態で「あとはよろしくね」と、アンカーのバトンが渡されるバケツリレー方式が常態化していました。

 グンゼ製品の販路は店頭が中心で、D2C比率が上がってきたのも近年の話です。BtoB的な発想が強かったため、「消費者が何を求めているか」よりも「この売り場にどんな商品が置けるか」「流通に合わせてどう売るか」という起点で考えがちだったと言えます。

 それが2023年4月に、アパレルカンパニー全体を一本化するという経営判断が下りました。品種単位ではなく、お客様に「ソリューションを提供する組織」にならないといけない、という大きな方針転換です。インナー、レッグウェア、ハウスウェアの3事業部が「アパレルカンパニー」に統合し、各製品を横断する営業MD本部が置かれました。そして、その配下に「商品企画部 マーケティンググループ」が新設され、私はそのマネージャーとしてアサインされました。

 今まで悶々としてきたことを、ようやくここで発揮できるなと意気込みました。ミッションは明確でした。「新しいブランドを1つ成功させる」——それがアセドロンです。

マーケティングとは「仕掛けを作る」こと。チームのマインドセット改革

──マーケティング組織が新設されて、まず何から取り組まれましたか?

 まずは、チーム内のマインドセットです。そのために、「マーケティングとは何か」という共通認識をチームで作ることから始めました。

 ワークショップ形式で付箋を貼り合いながら議論したのですが、どうしても「教科書的に売る仕組みを作る」という答えに落ち着きがちで。それ自体は間違いではないけれど、それだけだとどうしても面白くないアウトプットになってしまう。私がマーケティングに対して持っているのは、人をワクワクさせ、自分たちもワクワクできる活動だという感覚なんです。

 最終的に、私からチームに「マーケティンググループは、仕掛けを作る部門」であり、そのつもりで活動することを伝えました。フレームワークはちゃんと使う。でも最終アウトプットはクリエイティブに。ロジカルな設計の上に、人の心を動かすクリエイティブがある。それが仕掛けを作るということです。

──担当体制も変えたのですか?

 変えました。以前の販促チームは個別ブランド単位で担当が分かれていましたが、フルファネルを戦略的に、かつ統一感を持って動けるよう組み替えました。

 それまで、販促部は最後の販促工程だけを担うアンカーでしたが、マーケティング部門に変わった瞬間に、製品企画の最初のキックオフから入るトップバッターとアンカーを両方務める立場になります。その頭の切り替えが、最初の意識づけとして一番重要でした。

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顧客の声の「翻訳者」に。開発チームとの連携と機能の絞り込み

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この記事の著者

竹上 久恵(編集部)(タケガミ ヒサエ)

早稲田大学文化構想学部を卒業後、シニア女性向けに出版・通信販売を行う事業会社に入社。雑誌とWebコンテンツの企画と編集を経験。2024年翔泳社に入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2026/05/28 09:00 https://markezine.jp/article/detail/50801

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