全員でハイタッチした瞬間が、チームを変えた
──チームの熱量をどう設計していきましたか?
目に見える数字の達成と並行して、「チームの熱量設計」も意識していました。マーケの仕事は、インとアウトのタイミングが重なったり、区切りがはっきりしない仕事です。だからこそ、意図的に「ここが一区切り」という瞬間を作ることを大事にしていました。その旗印として目標に設定したのが賞レースです。
売上の数字だけでなく、業界で認められるという、チーム全員が熱狂できる別の軸を置きました。戦略的かつ泥臭い活動で、1年目の年末に『日経トレンディ』の「2024年ヒット商品ベスト30」へのランクインという目標を達成して、皆でハイタッチした瞬間は、私にとってもチームにとっても重要なチャプターでした。
社内で組織を変えていくには?「根回し」と「パッション」が大事
──縦割り組織から横串を通す組織になり、アンカーだった販促部門からトップバッターも務めるマーケティング部門になるなど、組織内の役割が変化すると、社内調整でも気を使う部分が多かったのではないでしょうか。社内でマーケティング部門の役割や、組織を変えていきたいとジレンマを感じているマーケターに、何かアドバイスがあれば。
「組織を変えていく」なんて大それたことは、私には荷が重すぎるのですが、本当に一番大事なのは「パッション」と「根回し」の2つだと思います。
人を真に動かすのは、数値化できない感性だと私は思っています。でもビジネスの組織の中では、それだけでは絶対にうまくいきません。そして根回しは、本当に大事です。マーケティング部門のチームで決めたことを通してもらうためにも、その前段階の準備を怠ってはなりません。
私は、1人ずつ事前に交渉するスタイルです。たとえば新しいクリエイティブができたら、会議の前に「これ、めちゃくちゃいいのができました」と、各所に個別で見せに行く。そこでいったん良いものだと認識してもらえると、後から「ダメだ」とは言いにくくなりますよね。
そして、忖度の文化を意識的に壊すこと。下の人がOKでも、その上でひっくり返ることは、組織では必ず起きます。それを恐れて、この人にはこう言われそうだから、この角度で提案しようとか、誰かの顔色を見た仕事の仕方が染みついてしまう。それは絶対NGにしました。自分がやりたいことを、自分の責任でストレートに提案する。通らなかったら、理由を聞いてまた考える。その繰り返しが、チームの文化になっていくと思います。
「機能ブランディング」のスキームを次のブランドへ、そして世界へ
──最後に、今後の展望をお聞かせください。
アセドロンで築いてきた、顧客の未充足ニーズを起点に、機能開発・コミュニケーション設計・話題化まで一貫して設計するマーケティングスキームは、次のブランドにも横展開できると考えています。アセドロンはその最初の成功事例であり、証明でもある。その型を残すことが、このチームでの私の最後のミッションでした。
グンゼには、独自の価値を持つブランドが他にも様々あります。アセドロンで確立した方法論を再現していくことが、次のステップです。
また、このスキームは日本国内にとどまらず、各地でローカライズして、未充足ニーズがある場所であれば同じ枠組みで挑戦できると思っています。国内での成功事例をベースに、グローバルへの展開も視野に入れています。
