SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

業界キーパーソンと探る注目キーワード大研究

ママのお悩み解決アプリ「ママリ」はなぜテレビCMを展開したのか?

コミュニティの質をどのように担保したのか

 実際、今回の施策とは別に、ハッシュタグをきっかけにママリを知ったという人も多い。大湯氏はこの流れについて、「自分の子どもの可愛さを知ってほしいという承認欲求と、そこから発展して、同じママ同士でつながりたい、相談したい、教えたいというつながり欲求があります。この2つを実現するのがママリの魅力だと思います」と評している。そしてママリの運営サイドとしては、「ユーザーが増えても、コミュニティの質を落とさないように注意しています」(大湯氏)と、Q&Aの回答率など様々な点でサービスの維持・向上に勤めている。

「コミュニティが活発に活動していないと、アプリ体験を阻害することになってしまいます。そのため今回の施策でも、ユーザーの体験や気持ちを考えて設計し、既存のユーザーと新規ユーザーの温度感を統一するように気を配りました」(大湯氏)

 とはいっても、自発的なコミュニティ活動が大切なので、運営が介入することはしない。増田氏は「既存ユーザーにはテレビCM放映をいち早くお知らせし、日ごろの感謝の気持ちと合わせて『ママリ初心者のユーザーさんにも、あたたかく接してください』と伝えるにとどめました」と説明する。実際、テレビCM放映以後は、新規ユーザーの方が『テレビCMをきっかけに始めました』と挨拶をすると、既存ユーザーが「ママリはすごくいい場所だから、よろしくね」と挨拶を返し、スムーズなコミュニケーションが生まれたという。こうした反応も、「ママリらしさ」だという。また、キャンペーンでママリの中で得ることができる体験「ママリ体験」を打ち出したおかげで、新規ユーザーも、ママリのカルチャーやコミュニティを理解して入ったことも功を奏したそうだ。

子育てに優しい社会のインフラを目指す

 今後、ママリというアプリとブランドはどこに向かうのか。大湯氏は、「2つの方向があります」と説明する。

 1つは、妊娠中から出産、子育てに至るまで、子どもを持つ母親すべてが使ってくれる圧倒的なアプリになること。もう1つは、子育てを含め、広く家庭の悩みや課題に向き合い、「家庭」を切り口にしたサービスブランドとして事業を拡大・変化していくことだ。

 いまのユーザー層の大部分は子育てがメインかもしれないが、子どもが育つうちに、悩みが教育やお金に移っていく可能性がある。そうした変化に応じて、ママリブランドとして新たなサービスを立ち上げるかもしれないし、新たなブランドで関連事業を展開することを考えているという。「いわば、社会インフラとして拡大していくということです」と大湯氏は述べる。その具体策として、今後は自治体や行政とつながり、子育てや家庭問題に取り組んでいくことも視野に入れているそうだ。

「社のミッションは、『人の生活になくてはならないものを作る』です。子育てや家族の課題は、決してネットだけで解決できるものではありません。ママリというアプリの中で、課題を解決すると共に、ママリを通じて社会を変えていく、将来的にはそういうサイクルを作りたいと考えています。そしてそれは、子育てや家庭のあり方を良い方向に変える社会作りにつながっていく。そのため、難しいとは思いますが、デジタルの世界だけに閉じることなく、行政や自治体と関わり、インフラ化することを目指します」と大湯氏は語った。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
業界キーパーソンと探る注目キーワード大研究連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

★編集...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2018/05/28 08:00 https://markezine.jp/article/detail/28396

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング