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MarkeZine Day 2020 Autumn

ロングセラー商品のリニューアルを国民投票に委ねた意図は? 亀田製菓流の顧客コミュニケーション

 消費者心理が変化し続ける時代、選ばれる続けるブランドを育成するのは至難の業だ。消費者の心を捉え続けるために、企業は何をすべきなのか。新潟に本社を構える製菓メーカーの亀田製菓は、2020年5月に同社の人気商品である「亀田の柿の種」を、国民投票の結果を受けてリニューアル。投票数は25万票を超え、大きな話題を呼んだ。9月1日に開催された「MarkeZine Day 2020 Autumn」に、亀田製菓の池ノ上氏が登壇。リニューアルに至った経緯や、ブランドのファン化を促進するポイントを解説した。

約40年間変えなかった「黄金バランス」にメスを入れた理由

 1966年に発売されたロングセラーブランドであり、米菓売上No.1を誇る「亀田の柿の種」(インテージSRI調べ「せんべい/あられ 2019年1月~2019年12月累計金額」の同ブランド累計)。

 多様な商品展開を行っており、わさび味や梅しそ味に加え、減塩タイプやピーナッツ無しバージョンの「亀田の柿の種100%」も販売されている。さらに、JAXAの宇宙日本食認証を取得した「亀田の柿の種(宇宙食)」も開発されており、今や国内や海外にとどまらず、宇宙でも楽しめる、国民食と言っても過言では無いブランドとなっている。

200g 亀田の柿の種 6袋詰
200g 亀田の柿の種 6袋詰

 そんな亀田の柿の種は、発売から54年の間で、実は何度もリニューアルを実施している。77年には6個包装に変更され、湿気にくく、持ち運びも便利になり、89年には窒素充填方式を採用し、よりおいしさを保てる仕様になった。

 それ以外にも数年おきに細かなリニューアルを実施しており、「お客様のニーズの変化に合わせて進化してきたことが50年以上のロングセラーにつながっている」と池ノ上氏。

亀田製菓 経営企画部 コーポレートコミュニケーションチーム アシスタントマネージャー 池ノ上 雄樹氏
亀田製菓 経営企画部 コーポレートコミュニケーションチーム アシスタントマネージャー 池ノ上 雄樹氏

 ただ、柿の種とピーナッツの比率(重量比)は、「柿の種6:ピーナッツ4」が黄金バランスだとして約40年間変更されることがなかった。なぜ今回、比率の変更に切り込もうと考えたのか。

 「亀田製菓では毎年お客様調査を実施しています。その中で近年、喫食者の変化が見えてきました。これまでは男性向けおつまみのイメージが強かったのが、女性やお子様にも食べていただいている。おつまみとしてだけではなく、おやつやコーヒーのお供としての需要も増加傾向にあることがわかったんです。

 お客様の変化に合わせ、商品も変わっていかなければいけない。では何を変えていこうかと考えた時、やはり強みを磨いていくのが一番だと考えました」(池ノ上氏)

ブランドの価値を問い直す国民投票

 「亀田の柿の種」の強みは大きくは2つ。1つは、柿の種内部の空洞が生み出す、独自の「カリッ!」とした軽快な食感だ。そしてもう1つが、柿の種とピーナッツの美味しさの黄金バランスだった。だが、約40年間変わっていない比率は、果たして現代の消費者にとってベストなバランスなのか。同社ではそれを確かめるため、国民投票に踏み切った

 国民投票は、リニューアルすること自体が目的ではなく、消費者が望むバランスを知るために実施したので、キャンペーン開始時は、リニューアルを実施するかどうかは決まっていなかったという。

 キャンペーンでは、現行の「柿の種6:ピーナッツ4」以外に、「柿の種10:ピーナッツ0」から「柿の種0:ピーナッツ10」まで、計11個の選択肢を用意し、SNSやハガキで投票を募集。結果、「柿の種7:ピーナッツ3」の比率が投票全体の約30%と最も票を集めた。この結果を受けて、リニューアルするべきかどうかを本格的に検討し始めたという。

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

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MarkeZine(マーケジン)
2020/10/26 08:00 https://markezine.jp/article/detail/34549

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