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特集:すごいBtoB企業がやっていること

9割のBtoBメーカーサイトは「損失」を生んでいる。成果につながる製品サイトを作る5つの条件

 BtoBメーカーにとって、製品サイトは重要な顧客接点のひとつだ。だが、戦略をもって運用できている企業はどのくらいいるだろうか。17年にわたりBtoB企業のサイト戦略立案からサイト設計、実装、リリース後のKPI設計、PDCAサイクルの支援までを手掛けてきたエクスペリエンス代表の橘 守氏は「9割の企業はサイト活用が上手くいっておらず、損失を生んでいる」と指摘する。橘氏に、多くのBtoBメーカーサイトが抱える課題と、それらを改善し、“ビジネス成果につながる製品サイト”を作るためのポイントを聞いた。

※本記事は、2022年9月25日刊行の定期誌『MarkeZine』81号に掲載したものです。

9割のBtoBメーカーサイトは「損失」を生んでいる

——長きにわたり、様々な企業のサイト戦略立案からサイト設計、実装、PDCAサイクルに至るまで支援をされてきたエクスペリエンス社。まず、御社が企業のサイト活用を支援される際、最も重視されていることをお伺いできますでしょうか。

橘:前提として、当社が支援しているのは製造業などのBtoBメーカーがほとんどです。BtoBメーカーにおける製品サイトは重要な顧客接点のひとつですので、その最適化を支援しています。その中で、我々が最も大切だと考えるのは、顧客起点でのアプローチをすること。ユーザーに最大のベネフィットとエクスペリエンスをもたらすデジタル接点づくりを行うことで、クライアント企業の成長を支援しています。

 一方、顧客起点のサイト設計ができていない企業は、大きな「損失」を生んでいると考えています。

株式会社エクスペリエンス Founder,CSO/代表取締役/エグゼクティブコンサルタント 橘 守(たちばな・まもる)氏 リクルート「住宅情報」「カーセンサー」を経て、ポイントキャスト代表取締役社長、Jストリーム事業推進部部長を務める。2005年に5社の出資でX-PERIENCE設立。2008年夏MBOを実施。現在は、エクスペリエンス代表取締役CSOとして、ユーザーに最大のベネフィットとエクスペリエンスをもたらすデジタル接点づくりを目指し、クライアント企業の成長を支援。2008年以降は毎年300人以上に講演や研修を提供。「企業のWebサイトとして大事なこと・大事ではないこと」「サイトパフォーマンスを数字で把握したうえで改善する方法」を伝え続けている。「数字で説明する。」が信条。「わかりにくい」を「わかりやすく」、「使いづらい」を「使いやすく」が仕事のテーマ。
株式会社エクスペリエンス Founder,CSO/代表取締役/エグゼクティブコンサルタント
橘 守(たちばな・まもる)氏

リクルート「住宅情報」「カーセンサー」を経て、ポイントキャスト代表取締役社長、Jストリーム事業推進部部長を務める。2005年に5社の出資でX-PERIENCE設立。2008年夏MBOを実施。現在は、エクスペリエンス代表取締役CSOとして、ユーザーに最大のベネフィットとエクスペリエンスをもたらすデジタル接点づくりを目指し、クライアント企業の成長を支援。2008年以降は毎年300人以上に講演や研修を提供。「企業のWebサイトとして大事なこと・大事ではないこと」「サイトパフォーマンスを数字で把握したうえで改善する方法」を伝え続けている。「数字で説明する。」が信条。「わかりにくい」を「わかりやすく」、「使いづらい」を「使いやすく」が仕事のテーマ。

——損失、ですか?

橘:はい。私たちはBtoBサイトを改善することで到達できるある一定のレベルと、現状の状態を比較したときに生まれる差を「損失」と捉えています。指標としては、問い合わせ数やホワイトペーパーのダウンロード数といったKPI。あるいはKPIの関連指標としての問い合わせフォームの完了率や特定コンテンツのリード獲得寄与率などです。

 サイトを改善せず、現状のまま運用していくと、これらの指標はどのくらいの差がついていくでしょうか? また差がつくことで、どのような結果につながるでしょうか。

 たとえば、現状サイトの問い合わせ・リード獲得数が月1,000件あり、そこから2億円の受注につながっているとします。そうすると、問い合わせ単価は20万円になりますよね。では、サイトを改善し問い合わせ・リード獲得数が2,000件になったとしたら、どうでしょうか。単純計算すると、問い合わせ単価が20万円なので、受注は約4億円になりますよね。つまり、改善せずに放置すると、2億円の損失が生まれているということです。

 そして、長年支援してきて言えることは、BtoBメーカーの製品サイトは、ほとんどが顧客起点になっていないということ。つまり、9割の企業は「損失」が起きている状態ということです。

なぜ顧客起点のサイト設計ができていないのか

——9割とは驚きです。なぜそのような状況に陥っているのでしょうか。

橘:まず、営業戦略に基づく、デジタル戦略が曖昧な企業が多いですね。デジタルで何を実現したいのかといった戦略が十分に描けていないまま、サイトを運営しているというのが問題の根幹です。そしてデジタル戦略が曖昧な企業は、次の5つの課題を抱えているところが多いです。

BtoBメーカー製品サイトの課題あるある

(1)サイト戦略が定義されておらず、サイトの目的が曖昧(営業戦略そのものの解像度が低いというケースもある)。

(2)上記の結果、KPIの設定が充分でない。

(3)コンテンツ不足。階層がバラバラ。ラベル・ナビゲーションが破たんしている。にもかかわらず、小手先施策としてツールを導入している(MA、Web接客ツールなど)。

(4)計測ツールの設定が充分でない。

(5)計測ツールの設定が充分でないので、現状把握・正しい課題認識のないままリニューアルして、その目的とする成果を得られないケースが多い。

橘:1つ目は「誰」を対象にして、「何を理解していただき」「どう反応してほしいのか」が曖昧だということ。2つ目は、それが曖昧であるがゆえに、訪問者が「誰」で「どういう情報が欲しいのか」ということがわからないということ。企業側からすれば「どういう人」が「何を求めているのか」がわからないということです。

 3つ目は「訪問者が求めている情報」が存在しない、または、あったとしても見つからない、ということ。そもそも訪問してもらえていない、たとえ訪問したとしても、すぐに離脱しているということです。4つ目はサイト計測ができていないので、上記のような訪問者のサイト上の行動がわからないということです。5つめは、これこそあるあるですが、正しい課題認識なしに、見た目を変えても成果は出ないということです。

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この記事の著者

福島 芽生(編集部)(フクシマ メイ)

1993年生まれ。早稲田大学文学部を卒業後、書籍編集を経て翔泳社・MarkeZine編集部へ。Web記事に加え、定期購読誌『MarkeZine』の企画・制作、イベント『MarkeZine Day』の企...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/09/27 08:30 https://markezine.jp/article/detail/40077

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