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MarkeZine Day 2022 Autumn

経営にLTVを実装する。西口一希氏が語る、経営とマーケティングを「顧客起点」でつなぐ方法

 すべての企業活動には、その相手となる顧客が存在する。しかし、日々増えていくマーケティングの手法に執心するあまり、本当の顧客の姿を見失ってしまうことも少なくない。9月7日、8日に開催したMarkeZine Day 2022 Autumn、ラストのセッションには『顧客起点マーケティング』(翔泳社)、『顧客起点の経営』(日経BP)著者の西口一希氏を迎えた。書籍に未収録の最新の提言「経営へのLTV実装」も含め、経営とマーケティングを結びつける考え方が語られた。

企業は「顧客」をどれだけ理解できているか

 皆さんこんにちは、西口です。私はP&Gやスマートニュースなど4社の事業会社を経て、現在は自分の会社でコンサルティングと投資活動をしながら、M-ForceやグロースXといったマーケティングを支援する会社でも活動しています。

Strategy Partners 代表取締役/M-Force 共同創業者 取締役 西口一希氏
Strategy Partners 代表取締役/M-Force 共同創業者 取締役 西口一希氏

 今回は、経営とマーケティングをつなぐ「顧客起点」をテーマにお話をしたいと思います。2019年、翔泳社さんから『顧客起点マーケティング』という書籍を出させていただき、5segsや9segsのフレームワークを発表しました。それを引き継ぐ形で今年、経営者向けに『顧客起点の経営』を上梓しました。たくさんのマーケターの方や経営者の方とお話をする中で、事業が伸び悩むのは、経営から顧客の姿が見えなくなるからだと確信していきました。

 そして、経営が顧客と財務結果を結びつけて考えられるようになるために、顧客と最も近く接しているマーケティングは、「顧客戦略(WHO&WHAT)」をはじめ顧客の姿を経営に精緻に提示することが求められます。そうしてこそ、マーケティングの存在感は高まると、今日はお伝えしたいと思います。

 まず、あるアンケート調査を紹介します。私を含む7人のコンサルタントが、過去にご支援した計145事業について答えたものです。たとえば「質問1:ターゲットとするマーケット全体の顧客数が定義されていたか」に対しては、全体で26%、日本企業だと15%でしか実践されていませんでした。他の質問も含め、どれだけ顧客の実態を精緻に捉え、全社で合意できているかを確認したところ、なかなか厳しい結果となりました。特に日本企業での数字が低く、顧客理解が不十分である実態が浮かび上がりました。

企業が見失っている心理、多様性、変化

 なぜ、こうした事態に陥ってしまうのでしょうか。具体的に顧客の何が見えていないのかというと、心理、多様性、そして変化の3つが挙げられます。

 お客様というのは、何の理由もなく突然購入したり離反したりはしません。必ず何らかの心理変化があるから、買ってみよう、もう止めようといった行動に移ります。そうした心理を理解することは大前提として必要ですが、あまり目を向けられていません。

 たとえばデジタルマーケティングでは当たり前の「A/Bテスト」でも、成果が上がったAに施策を寄せる際、「なぜAを選んだのか」「なぜBは選ばれなかったのか」を議論されることはほとんどないのではないでしょうか。もし、これらの理由を深掘りしていたら、Aよりはるかに成果が高い案・Xが生まれたかもしれません。

 顧客を“マス”として一様に捉えず、様々なニーズや価値観を持つ多様性を理解することも必要です。そして、顧客は常に動いています。1年前と今と1年後では、欲しいものは違って当然ですし、このセミナーを聴講した前後で皆さんのマーケティングへの興味も変わっていると思います。

 顧客理解の重要性は、いくつかの要因からもますます高まっています。たとえば、昭和の時代はそもそも人口が増えていたので、商品の販路を整えてマス向けに告知をすれば売上を獲得できました。しかしこの人口減の時代に、それは難しくなっています。

 マーケティングでは「戦略」という言葉がよく使われますが、世にある戦略論の多くは戦争を題材にしているので、競合ばかりに向き合ってしまう。結果、本来向き合うべき顧客が視界から抜けてしまうという問題もあります。さらに、企業の規模が大きくなると部署が増え、社内に目が向き、顧客から意識が離れる……という事態も引き起こされます。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/01/24 08:30 https://markezine.jp/article/detail/41046

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