消費データの価値は粒度の細かさにあり
MZ:DMPの構築にあたり、東北観光推進機構では様々なデータホルダーの協力を得ながらデータを蓄積していたそうですが、三井住友カードからは具体的にどのようなデータを提供していたのでしょうか?
安藤(三井住友カード):どこからどれくらいの人が来て、何に対していくら消費しているのかがわかるデータを提供しています。場所は市町村や国籍単位、業種は「温泉」や「ホテル」「食」「ゴルフ」など、細かい粒度で具体的にお伝えすることができます。
安藤(三井住友カード):また、経年比較や月別・時間帯別比較が可能なデータも提供しています。東北観光推進機構に属する各自治体様が、観光戦略や現状把握の指標に合わせて見たいものを見ることができるのです。
MZ:三井住友カードが提供する消費データの価値を、東北観光推進機構としてはどのように捉えていますか。
紺野(東北観光推進機構):今後の戦略につなげられる、非常に価値があるものだと捉えています。驚いたのは、捕捉可能な業種・エリアの細かさです。これまでは調査員が外国人観光客を対象にアンケートを実施していたのですが、その方法では「宮城県」くらいの粒度でしか捉えられなかったのです。
その点三井住友カード様の消費データでは、市区郡単位でデータを細かく把握できるため、これまでカバーできなかった部分を捕捉することが可能です。これら業種やエリア、月別のデータをクロスしながら、踏み込んだ知見を得ることができています。
グラフだけで示唆が得られるUIを目指した
MZ:三井住友カードは毎月のデータ提供にとどまらず、DMPの構築支援にも伴走したとうかがいました。なぜそこまで一歩踏み込んだ支援をしようと思われたのでしょうか。
安藤(三井住友カード):DMPは自由度が高い分、データを読み解く力のある方は価値を実感できるものの、そうでない方は活用することが難しい側面を備えています。操作に不慣れな方を想定し、ストーリー構成でデータをわかりやすく見せる必要性を感じたのです。東北観光推進機構様の目指す世界をお聞きしたときに、データの提供だけでなく、DMPの中から欲しいデータを抽出するところまでサポートすることが私たちのできることであり、やるべきことではないかと考えました。
実は当社にとっても、DMPへのデータ提供は初めてのチャレンジでした。通常はアナリストが紙のレポートでグラフを作成し、コメントを添えて提出するのですが、DMPに提供する際は決められたダッシュボードのフォーマットに沿う必要があります。その上データは毎月変わりますから、コメントを書くこともできません。どうすればコメント無しのグラフだけで示唆を得られるか。東北観光推進機構様とベンダー様、当社の三者で打ち合わせを重ねながら、見やすい形に整えていきました。