マーケティング・マネジメントは経営機能
ここまで、組織マネジメントからマーケティング・マネジメントへの昇華を図るべきということをお伝えしてきました。
最後にお伝えしたいのは、マーケティング・マネジメントが経営そのものであるということです。マーケティング・マネジメントとは、「人の強みと成長を引き出して、組織成果を最大化すること」。これを組織マネジメントの言語化にも適用すると、「持続的な事業成長を支える組織の成長を促すために、人の強みと成長を引き出して、事業のKPIを持続的に最大化し続けること」となります。
この組織を会社と言い換えると、それは経営そのものを指すことになります。つまり、マーケティング・マネジメントとは、「マーケティング経営」とも言い換えられるのです。
私は、このマーケティング経営を「マーケットに適応した戦略と組織を創り、 利益を最大化する経営」と定義しています。これを式にすると、下記となります。
利益最大化 = 顧客数 × 一人あたりの利益(LTV-CAC)
意味はシンプルです。 顧客一人あたりの利益を最大化し、それを積み上げ続けることを意味しています。この式は、会社として何に向き合うべきかを明確にしています。
LTV(Life Time Value=顧客生涯価値≒顧客がもたらす総利益)は、顧客にどれだけ価値を届けられているか。CAC(Customer Acquisition Cost=顧客獲得コスト)は、その価値をどれだけ効率よく届けられているか。顧客数は、その価値がどれだけ市場(=顧客)に受け入れられているかを表します。重要なのは、このすべてが連動していることです。
この式が示しているのは単発の成果ではなく、“再現性のある”利益最大化の構造です。そして、この再現性は組織力によって実現されます。
価値が低ければLTVは上がらない。効率が悪ければCACは下がらない。市場に合っていなければ顧客数は増えない。だからこそ、マーケティングはプロモーションではなく、経営そのものだと言われるのではないでしょうか。そして、その経営を実現するためのOS(Operation System)がマーケティング・マネジメントだと私は考えており、経営そのものだと捉えています。
経営OSは「変化対応を合理的に行うこと」が前提
ただし、この経営OSは、マーケットの変化に常に合理的に適応していくことを示しています。したがって、マーケットに対して適応しているか否かを数字で合理的に判断、意思決定して戦略や組織を変えていくことになります。
ゆえに、変化が早い領域や業種で働く人は、組織が変化することを前提に仕事をしていくことが重要です。日々現場で実務に向き合っていると、組織変化の大きさやスピードに不満を感じてしまうこともあるかもしれませんが、経営とは変化対応がすべてなのです。
スマートフォンのOSがアップデートされ続けるように、経営も常に市場の変化に適応し続けなければなりません。OSが古いままだとアプリが動かなくなるように、組織も変化しなければ戦略を実行できなくなります。
リクルート在籍時代、組織は毎年大きく変わるし、役割も変わるし、重要とするケーパビリティも常に変わっていきました。ただ、それはすべてにおいて経営が合理的に変化に対応していたからでした。この変化対応を合理的に行う経営のOSを、私はこのマーケティング・マネジメントという言葉に変えてお伝えしているのだと思っています。
次回は、リクルートおよびNexGenの事業伴走のしくじりから培ったマネジメントノウハウを踏まえ、マーケティング戦略を実行する組織の創り方、そしてその組織のマーケティング・マネジメントの考え型を皆様にお伝えしていきたいと思います。
