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『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

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【特集】ターゲティング大変革期の到来

老若男女の共通したインタレストを確実に捉える、「天気」が持つ可能性

 ここからは、ターゲティングに活用できるCookie以外のデータに着目したい。1つ目が気象データだ。その場にいる人々の気持ちを捉え、コンテクスチュアルな広告コミュニケーションを実現できるという気象データの可能性とは?株式会社ルグラン 代表取締役 共同CEOの泉 浩人氏に取材した。

※本記事は、2024年7月刊行の『MarkeZine』(雑誌)103号に掲載したものです

天気はコンテクスト理解に欠かせない要素

──「データを駆使したターゲティング」の在り方が変化しています。御社は現況をどう捉えていらっしゃいますか?

 2つの視点があると思います。1つはプライバシーです。主にCookieの規制と代替の話はこちらの話だと思います。もう1つが広告体験の視点です。Cookieの有無も広告体験に影響を及ぼしますが、根本的には個別の問題だと考えています。

 Cookieの代替技術や独自ID、1st Party Dataの活用でプライバシーの問題をクリアしたとしても、コンテクストが読めていなかったり、画面を覆い尽くしたりする広告が消えなければ、結局は個人情報の提供を拒否する人が増えるでしょう。

 私たちルグラン「役に立つ広告」という表現をしますが、人々に受容される広告体験を作ることを念頭に置く必要があると考えています。

 以上を踏まえ広告の方向性は、新しいトラッキング活用という技術的な動きと、コンテクストを理解するコンテクスチュアルマーケティングへの回帰という2つがあると考えます。気象データの活用は後者にあたります。

 私たちは気象データに可能性を感じ、天気に合わせてコーディネートを提案する女性向けのサービス「TNQL(テンキュール)」を2017年にリリースしました。累計26万人の利用があり、天気自体への関心の高さを確認できました。さらに、複数のコーディネート案の中にブランド提供のものを加え、ECに誘導したところ平均2~3%のコンバージョン率が見られました。ディスプレイ広告の数字としては良好です。

 天気に合わせたレコメンドは効果がある。言い換えると、天気はその場にいる人の状況や、コンテクストを理解できるわけです。そこで、2022年に気象データを用いた広告配信サービスである「weathermarketing.net」をリリースしました。SNSやGoogle、Yahoo!など各種プラットフォームに広告を配信できます。

──具体的に、気象データを用いてどのような広告を配信しているのでしょうか?

 ある遊園地の例をご紹介しましょう。屋外レジャー施設は雨が降ると来場者が減少します。この遊園地も例に漏れませんでした。しかし、この遊園地には屋内施設があるので実際は雨でも楽しめます。そこで、週末の天気予報に合わせて配信する広告を変える取り組みをしました。予報が晴れならば屋外施設を、雨ならば「屋内施設でも遊べますよ」という誘導をすることでクリック率が70%以上向上し、来場者数などの数値も改善されました。

 ある中古車販売の企業はYouTubeのインストリーム広告で、スキップされずに見てもらうために気象データを活用しています。Googleの位置情報データを用いて、広告の冒頭に視聴者のいる場所の天気予報を流しました。そして、天気に合わせて「中古車の売り買いは晴れのときがおすすめ」「雨のときだからこそチェックすべきポイント」と内容を変えました。

 どんな天気でも中古車の展示場に来る意味があると伝えつつ、そのブランドに親近感を持ってもらい、来店を促すことができました。

 これらの例は媒体側の設定を活用して、年齢や性別でセグメントした上で気象データの要素を加えていますが、ターゲットがいる場所の天気に合わせるだけでも反応が好転することがわかっています。

 このように、気象データはコンテクストを左右するものとして、非常に可能性があると実感しています。

──天気といっても様々な種類があると思います。御社では、どのような気象データを活用されているのでしょうか?

 様々なデータを使用していますが、基本的には雨や気温です。気温は現在の気温もあれば、最高・最低気温もあります。雨も降水確率や降水量などがあります。また湿度、風速、花粉、さらに「まとめ天気」といって、いわゆる雨のち曇りなどの時間にともなう変化を追ったデータがあります。これらのデータを組み合わせることも可能です。

 データ自体はハレックスというNTTデータグループの気象会社から提供を受けています。日本全国を1kmに切ったメッシュで天気が1時間に1回更新され、日本全国約37万エリアに対応できます。

 たとえば全国配送が前提のアパレルECでは、ユーザーの所在地の気候に合わせてレコメンドする商品を変えています。また、実店舗の緯度と経度でエリアを指定して、その周辺何kmで広告配信をするというピンポイントのアプローチもできます。店舗の周辺の湿度が特定のパーセントを切ったら、「乾燥しているので保湿しませんか?」と誘導する施策を実施した化粧品メーカーさんもいます。

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気象データは近未来を予測する

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/07/31 09:30 https://markezine.jp/article/detail/46014

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