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「運営がユーザーの一人になる」Twitch CMOが語る、活発なコミュニティ構築の方法

 ライブストリーミング配信プラットフォームを提供するTwitch(米Amazon傘下)は、ライブ配信という特性から長尺のコンテンツが多いも関わらず、ユーザーの過半数をZ世代などの若年層が占めており、SNSなど他のプラットフォームと比較して異彩を放っている。本記事では、同社でCMOを務めるRachel Delphin(レイチェル・デルフィン)氏に、現在の動画配信業界におけるトレンドや、コミュニティ活性化の秘訣、そしてインフルエンサーマーケティングで成果を上げるための方法について語っていただいた。

ブランドに求められる「他のコンテンツに埋もれない広告」制作

━━現在の動画配信業界におけるトレンドをどのように見ていますか?

 現在、消費者は自分の好みに合う高品質なコンテンツに対して無制限にアクセスできるようになりました。しかしこれは言い換えると、強いインパクトがありポジティブな印象を残せるクリエイティブでないと無数にあるコンテンツの中に広告が埋もれてしまうことを示しています。せっかく広告を出してもユーザーに注目してもらいにくくなってしまうのです。

Twitch CMO Rachel Delphin(レイチェル・デルフィン)氏

 このような状況が背景にあるため、近年のブランドは注目してもらえる広告制作に向けて、インフルエンサーなどのクリエイターとの提携関係を強固にしています。

 また、これにともない両者間の力関係にも変化が見られます。一昔前であれば、広告制作を依頼するブランド側のほうが強い立場にありました。しかし今では多くの場合、状況が大きく異なります。

 ブランドは、クリエイター側が自社の美学やコンセプト、コミュニティに響く内容を理解していれば、ある程度クリエイターに裁量を譲るようになりました。そうすることで、クリエイターとプラットフォームの特性を最大限に活かすことができ、他のコンテンツに負けない“訴求力のあるコンテンツ”を生み出せるからです。

 クリエイターが強い影響力を有するようになっていることを示す事例として、TwitchのストリーマーであるKai Cenat(カイ・セナト)氏が挙がります。

 米国では、2024年の最も影響力の大きいブランドとして同氏がランクインしました。これまで、グローバルの大企業ばかりが占めていた同ランキング内に、初めてクリエイターが入ったのです。このように、もはやクリエイターはブランドであり、大きな影響力をもっています。これは、今までは見られなかった新たなトレンドであると言えるでしょう。

コミュニティの活発化でエンゲージメントを高める

━━アテンションスパンが短く、次々とトレンドを生み出していくことがZ世代の大きな特徴だと思われます。そうした中で、Twitchは他のコンテンツよりも尺が長い傾向が高い「配信」を扱っているにも関わらず、多くのZ世代ユーザーを惹きつけることに成功しています。その理由を教えてください。

 まず、Twitchが持つ最大の特徴として、リアルタイム配信が挙げられるでしょう。世間一般的にZ世代は「TikTokのようなショート動画が好き」だと思われていますが、それだけに限らず、配信というフォーマットも好まれて使用されているのが実情です。配信ではインタラクティブなコミュニケーションが行えるため、ユーザー同士での結びつきやコミュニティの一員であることを感じることができるからでしょう。

 ゆえに、Twitchでの配信の平均時間は約4時間もあり、多くの視聴者が長時間当プラットフォームに滞在する傾向が見られます。

━━長時間プラットフォームに滞在してもらえるような高いエンゲージメントを生み出すために、取り組んでいることは何かありますか。

 当社では、ストリーマーや視聴者との間に良い関係を構築するため、コミュニティ運営に注力しています。

 Twitchの運営チームでもTwitch上でコンテンツを作成し機能を紹介したり、Discordなど様々なデジタルチャネルを活用して発信を行ったりと、まるで一人のユーザーのようにコミュニティ内で積極的な活動をしています

 これは、オンラインでの活動に限りません。ファンイベントである「TwitchCon」は、ストリーマーから直接フィードバックを受け、情報交換を行える非常に重要な場所です。

 このようにコミュニティ構築のポイントは、「自分たちもコミュニティに積極的に参加すること」です。それは、友達を作る行為に似ていると思います。偽りのない自分を見せてユーザーの方々に誠実に接することが、健全なコミュニティを保つ上では非常に大切です。

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この記事の著者

末岡 洋子(スエオカ ヨウコ)

フリーライター

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/01/29 08:30 https://markezine.jp/article/detail/47311

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