CDエナジーは、その空白をどう埋めたのか?「引越し」起点で設計したミドルファネル
その考え方が最もわかりやすく表れているのが、電力・ガス事業を手がけるCDエナジーダイレクトとの取り組みである。
同社の指名検索CV数は前年比で215%伸長し、いまなお増加傾向にある。重要なのは、これが単なる指名検索数の増加に留まらない点だ。
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必要な状況でブランドが想起され、「選んでもいい」という利用意向が機能した結果として、検索数とCV数の双方が動いた。そこにこそ意味がある。
電気やガスの切り替えは、日常的に比較され続ける商材ではない。平時は関与が低く、必要性は引越しのような特定の状況で突発的に立ち上がる。そこでCDエナジーでは、「引越し」という状況を起点に顧客ジャーニーを分解し、その前後で必要なコミュニケーションを設計した。
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問うべきはリーチ数でもCPAでもない。まだ必要性を感じていない層に何を伝えれば利用意向が高まるのか、そのコミュニケーションにどれだけ投資すれば、いつ成果につながるのか。そうした問いに向き合いながら、顧客の文脈を作り「選ぶ理由」へとつないでいった。この設計こそが、認知施策と獲得施策の間を翻訳し、認知から獲得までを一本の流れとして接続するミドルファネルの実装だったのである。
ミドルファネルは、全体設計を取り戻す視点
施策が部分最適に陥るのは、顧客やカテゴリーの理解を飛ばし、個別の打ち手から発想してしまうからだ。何をきっかけに必要性が立ち上がり、どんな状況で選ばれるのか。その理解を起点に全体を設計しなければ、認知は認知、獲得は獲得と分断されたままになる。
だからこそ重要なのが、認知、利用意向、想起、買いやすさを横断してつなぐミドルファネルの視点である。ミドルは単なる中間工程ではない。部分最適に切り分けられた施策を、選ばれる構造としてつなぎ直す接続点なのである。
それは同時に、企業が作ったプロダクトを、生活者の中でブランドとして成立しやすい状態へ近づけるプロセスでもある。知っている、意味がわかる、思い出せる、選びやすい。その接続が積み重なって初めて、プロダクトは単なる商品ではなく、ブランドとして機能し始める。
もちろん、常にトップ・ミドル・ボトムを同じ強度で強化すればよいわけではない。どこが最も事業インパクトを生むかは、事業フェーズやカテゴリーによって変わる。認知はあるのに利用意向や想起への変換が弱い、ボトムは整っているのに比較候補に入りきれていない。そうした局面では、ミドルを起点に全体を見直すことが実務的な突破口になる。
「ミドルファネルとは、新しい概念でも施策の名前でもありません。部分最適ばかりに陥った施策の積み上げを、選ばれる構造としてつなぎ直すためのブランドマーケティングの設計なのです」(川端氏)

