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MarkeZine Day 2026 Spring

TikTok Shopの“今”と“次の一手”:成功事例と支援策を徹底取材

ローンチから半年で5万社以上が参入 TikTok Shopで浸透するコンテンツ起点購買と有効な戦略

「話題性」と「売上」の不一致を乗り越える

 しかし、必ずしもすべての参入企業が順風満帆なわけではないだろう。「動画が話題になり再生数は伸びたが、商品はそれほど売れない」というような課題は往々にしてあるものだ。この「認知と購買の乖離」という難題について個別取材で投げかけると、邱氏は冷静な分析で応えた。

 「いわゆるインプレッションが出ているというのは、弊社のレコメンドシステムに刺さったということです。(中略)ただ、どれだけエンタメ性がある商品であっても、商品そのもののクオリティなどといった他の要素が原因で売れないことはもちろんあります」

 邱氏は、動画がヒットすることはあくまで「入り口」に過ぎないと指摘する。動画のエンタメ性が高くても、遷移先の商品詳細ページ(LP)の情報が不足していたり、レビューがなかったり、あるいは価格競争力が欠けていたりすれば、ユーザーは「動画を見て満足」して終わってしまう。それゆえに「『コンテンツが面白いね』というコメントだけで終わってしまうケースもあるでしょう。これは他のプラットフォームでも同じで、広告を出したら必ず売れるとは限らないのと同じ話だと思っております」と邱氏は語る。

 この課題を解決するためには、動画のクリエイティブだけでなく、ECとしての基本品質――商品ページのわかりやすさ、信頼性の担保、価格戦略――を磨き上げることが不可欠である。イベントで発表された「安全性への取り組み」(140万社の申請却下など)も、この「売れるための信頼基盤」を構築するための施策であり、プラットフォーム全体で「話題化」を「売上」に転換するための環境整備が進められていることがわかる。

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地域と世界をつなぐエコシステムへの進化

 イベントの終盤、TikTok Shopは新たな展望として「TikTok Shop Local」プロジェクトを発表した。これは、地域の特産品や中小事業者の商品などを動画やLIVE配信を通じて全国へ届け、地域の魅力や地域経済の活性化に寄与することを目指す新たな取り組みだ。TikTok Japanの執行役員で公共政策本部長として同プロジェクトを推進する安永 修章(やすなが のぶあき)氏は「専門的なEC知識や広告出稿に過度に依存せず、継続的に活用できるデジタルの販路」を提供すると語った。

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TikTok Japan 執行役員 公共政策本部長 安永 修章氏

 これは、TikTok Shopが「流行発信」の場としてだけではなく、日本経済の毛細血管とも言える地方経済や中小企業を支えるインフラとしても幅を広げようとしていることを意味する。また、将来的な在り方については邱氏が語った「クリエイターが夢を実現できる場」というビジョンでも示されており、セラー、クリエイター、そしてユーザーが相互に価値を交換し合う持続可能なエコシステムの構築を目指しているとのことだ。

 邱氏は個別取材の最後に、これからTikTok Shopへの参入を検討する、あるいは運用に悩むマーケターに対する実践的なアドバイスを送った。

 もちろん、TikTokでの公式アカウント開設、一定のフォロワー獲得といった段階は必要となるが、TikTok Shopを本格的に使いこなす上でそこからどう進めればいいのかわからない時期というのもあるだろう。そんな時に一番おすすめなのは「『オープンコラボレーション』という機能を利用すること」なのだと言う。自社の商品に興味を持ったクリエイターを募り、選定してサンプルを提供する。まずはそこから、小さくとも確実な「熱量」の連鎖を生み出すこと。それが、巨大なプラットフォームの波に乗るための最初の一歩となるだろう。

 消費者の「発見」を待つのではなく、企業自らが「発見される価値」を磨き、届ける。その能動的なサイクルの中にこそ、次世代のビジネスチャンスが眠っている。

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この記事の著者

安原 直登(編集部)(ヤスハラ ナオト)

大学卒業後、編集プロダクションに入社。サブカルチャー、趣味系を中心に、デザイン、トレーニング、ビジネスなどの広いジャンルで、実用書の企画と編集を経験。2019年、翔泳社に入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2026/02/17 07:00 https://markezine.jp/article/detail/50416

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